概要
フランベジアは、主に貧しい熱帯地域の子どもにみられる細菌性の皮膚感染症です。英語ではヨーズ(Yaws)と呼ばれます。この病気の原因菌は梅毒を引き起こす細菌と非常に近い関係にありますが、梅毒のように性的接触で感染する病気ではなく、遊びや日常生活で、傷口と皮膚の直接接触によってヒトからヒトへ感染が広がります。病気の初期はラズベリーのように赤く盛り上がった皮膚の「しこり」から始まります。治療をしなくても、この「しこり」は一時的に消えることがありますが、原因菌は体内に残ります。その後、感染が進むと、複数の皮膚のただれや、痛みを伴う骨・軟骨の障がいを引き起こします。最終的には未治療の約10%が顔や手足に深刻な変形を残すようになります。治療は「アジスロマイシン」の単回経口投与(1回だけ口から服用)する方法が第一選択とされています。
感染経路
フランベジアは、感染者の皮膚の病変から出た分泌物や滲出液(傷口からにじみ出る液体)が、ほかの人の皮膚の切り傷やすり傷に触れて感染します。これは主に子ども同士が遊んでいるときに起こります。感染すると、最初のしこりが現れるまでに約3~4週間かかります。感染した人が未治療の場合、感染後長期間にわたってフランベジアをほかの人にうつす可能性があります。日常的な握手のような軽い接触や性的接触によって感染する病気ではありません。フランベジアは、安全な水や医療へのアクセスが限られた、温暖で湿度の高い熱帯地域の、貧しく人口密度の高い地域で多く見られます。
疾病による負荷
流行地域
- フランベジアは、現在もアフリカ、アジア、ラテンアメリカ、太平洋の島々などの熱帯地域で風土病として流行しています
- 1950年代には90カ国以上でフランベジアがみられたのですが、現在では16カ国まで減少しています。その中で特にパプアニューギニア、ソロモン諸島、インドネシアで報告される患者数が世界の8割を占めるといわれています
患者数・感染者数
- 症例の約75%は15歳未満の子どもに起こります
- 何百万人もの人々が、いまだにフランベジアが存在する地域で暮らしています
- 治療を受けない場合、感染者のうち10人に1人が、潜伏期の後に長期間かけて重い後遺症として変形が残ることがあります
予防と治療
フランベジアは、アジスロマイシンを単回経口投与するだけで治療できます。また、ベンザチンペニシリンの注射や、ドキシサイクリンを2週間服用する方法も使われます。一部では吐き気や下痢などの軽い副作用がみられることがありますが、すべての人に起こるわけではありません。フランベジアに対するワクチンは現在のところありません。
ヒトだけが病原菌を保有することから、世界保健機関(WHO)の根絶戦略では、流行地域の地域社会全体にアジスロマイシンを配布して内服してもらう「集団投薬」が行われ、対象人口の少なくとも90%以上に投与することを目標としています。一部の研究では、1回の集団投与に加え、必要に応じて6ヶ月の期間を空けて追加の集団投与を実施することで、感染率がより低下することが示されています。
1950〜1960年代には、大規模な集団治療によって、世界のフランベジア症例数は95%減少しましたが、プログラムが中止されると再び流行するようになり、これを受けてWHOは2012年に根絶に向けた取り組みを再開しました。
予防のためには、衛生状態の改善、清潔な水、早期医療を受けられる体制を整えることが重要です。
注:「女性や子どもが感染しやすい」に分類していますが、子どもが感染しやすい病気です。ただし男女差はありません。
© Shota Koyano
フランベジア(イチゴ腫)症例写真
Shirley Simpson / Clover Health International
フランベジアの早期乳頭腫瘍病変、発症から2週間後の30歳女性の背部に認められる。淡黄色でカサカサしたこの病変は、早期フランベジアの特徴的な所見である
※ 疾患の理解を深めるため、一部に具体的な症例写真(臨床画像)が含まれています。