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熱帯病入門
その無関心が、誰かの日常
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狂犬病

キーワード 貧困・衛生環境 子どもに高いリスク かつて日本でも流行 どうやってうつる? ウイルス 動物(昆虫以外)

概要

狂犬病は、感染した犬などの咬み傷などから体内に侵入したウイルスが、末梢から中枢の神経細胞内で増殖し病害を及ぼすウイルス性の病気で、一度発症するとほぼ100%死に至る病気です。潜伏期間は通常数週間から数ヶ月ですが、前後する場合もあります。

初期症状は、インフルエンザに似ていますが、咬まれた部分がチクチクしたり、かゆみを伴うこともあります。病気が進行すると重度の脳炎を引き起こし、錯乱、幻覚、攻撃的な行動、唾液の過剰分泌などがみられます。 特徴的な症状として「恐水症」があります。これは水を飲もうとすると喉にけいれんが起こり、激しい痛みを伴うため、水を口にすることを避けるようになる症状です。 症状が始まる前にワクチンや免疫グロブリンなどの治療を行えば、かなりの確率で死亡を予防することができます。咬まれた直後に医療機関で適切な処置を受けることや、犬へのワクチン接種を徹底することによっても狂犬病は予防ができる病気です。

感染経路

人が狂犬病ウイルスに感染する原因の99%が犬によるものといわれています。犬以外では、コウモリ、アライグマ、スカンク、キツネなどの哺乳類も、地域によっては感染源になることがあります。感染した動物に咬まれたり、引っかかれたりした際、その唾液を介して感染します。また、感染動物の唾液が、目や口、あるいは開いた傷口に触れた場合にも感染することがあります。

一方で、動物をなでるといった日常的な接触や、乾いた血液や尿に触れることによって感染することは通常はありません。 犬へのワクチン接種が広く普及している国では、狂犬病の人への感染源は、飼い犬ではなく野生動物で発生しています。

疾病による負荷

流行地域

  • 狂犬病は、150を超える国と地域でみられ、南極大陸を除くすべての大陸で確認されています
  • 人の狂犬病による死亡例の約95%は、犬の狂犬病対策が不十分なアフリカとアジアで発生しています
  • 中でもインドは、世界の狂犬病死亡者数の約35%を占めています
  • 多くの地域では、犬を媒介とする狂犬病の根絶に成功しています
  • 狂犬病は主に、犬のワクチン接種が十分に行われておらず、暴露後の治療(噛まれた後に受ける予防的治療)へのアクセスも限られている、貧しい農村部の人々を中心に深刻な影響を与えています

患者数・感染者数

  • 世界では毎年推定約6万人が狂犬病で死亡していますが、報告や届出漏れなどが多いことから、実際の数字はこれを上回る可能性が高いです
  • 全症例の約半数は15歳未満の子どもです。子どもは動物に咬まれやすく、咬まれたことを報告しない傾向があるため、リスクがより高いです
  • 毎年1,500万人以上が犬などに咬まれた後にワクチン接種を受けており、これにより数十万人もの命が救われています

予防と治療

狂犬病は、動物に咬まれた直後に行う治療(PEP:post-exposure prophylaxis)で確実に防ぐことができます。まず、傷口をすぐに石けんと水で洗浄し、その後、狂犬病ワクチン接種を受け、場合によっては狂犬病免疫グロブリンの注射を受けます。症状が出る前に実施された場合、ほぼ100%の効果があります。RABIVAX-S、VaxiRab N、VERORABなどの市販ワクチン世界保健機関(WHO) 事前認証を受けて使用されています。

獣医師、動物取扱者、流行地域への渡航者など感染のリスクが高い人は、あらかじめワクチン接種を受けることが推奨されています。最も効果的な予防策は、犬への集団予防接種です。少なくとも犬の70%以上においてワクチン接種により感染伝播を阻止することができ、多くの先進国ではこの方法により狂犬病の排除に成功しています。

狂犬病

© Shota Koyano

Foodborne trematode infections

狂犬病の野犬のイメージ

 palidachan

Foodborne trematode infections

フランス・パリのパスツール研究所にある狂犬と闘う羊飼いジュピーユの像
1885年、狂犬病の犬から子どもたちを守るために立ち向かい、細菌学者ルイ・パスツールが開発したワクチンによって世界で2人目に命を救われた羊飼いの少年、ジャン=バティスト・ジュピーユの勇姿を伝える像。パスツールは、開発したワクチンで彼を狂犬病の発症前に治療したことで有名

長崎大学 平山謙二教授

※ 疾患の理解を深めるため、一部に具体的な症例写真(臨床画像)が含まれています。

監修: 長崎大学 熱帯医学・グローバルヘルス研究科 教授
プラネタリーヘルス学環 学環長 平山謙二教授

※ 本ページは、専門性を持たない読者に向けて作成された内容です。
顧みられない熱帯病(NTDs)に関する推計値やデータは情報源によって異なる場合があり、最新のデータが得られ次第、変更される可能性があります。最終確認:2026年5月