Overview
代表挨拶
創設10周年の節目を迎えて
2023年、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は、創設10周年を迎えました。資金拠出パートナーとスポンサーの皆さまの長年にわたるGHIT Fundへのご支援とご協力、顧みられない感染症との闘いに対する製品開発パートナーの熱い情熱とたゆまぬ努力、グローバルヘルス・コミュニティの固い結束力に支えられて今日にいたりました。ここに関係者各位に改めて感謝を申し上げます。
10年前、故・山田忠孝(Tadataka "Tachi" Yamada)氏と創業CEOのBT スリングスビーが紙ナプキンに書いた構想から始まったGHIT Fundは、常識にとらわれず、世界中のアイデア、コンセプト、イノベーションを結びつけることで、貧困国の顧みられない病気と闘ってきました。情熱とアイデアは、想像以上の力を発揮し、開発中または承認間近の新薬はそれぞれ数千万人もの命を救う可能性を秘めています。
この10年で累積投資額は約300億円、100件以上の研究開発プロジェクトを支援してきました。現在も約50件のプロジェクトが進行しており、そのうちの12件が臨床試験中です(2023年4月1日時点)。国内外のパートナーは170機関以上におよび、日本の製薬企業や大学と、海外のパートナー機関を結びつけ、イノベーションを加速させることが私たちの役割です。
GHIT 3.0 Strategic Plan
第3期(FY2023-FY2027)は、これまで以上に研究開発の効率化、加速化を目指し、治療薬、ワクチン、診断薬の開発を国際的な連携によって推進していきます。第3次5ヵ年計画「GHIT3.0」では、「イノベーションの加速」、「製品開発の投資インパクトを最大化」、「パートナーシップで生み出す化学反応」を戦略の3本柱に掲げ、低中所得国を中心に蔓延する顧みられない感染症のために、イノベーションと製品開発を推進する架け橋となるような国際機関を目指し邁進してまいります。
新薬開発は容易なことではありません。ひとつの薬を開発するのに、10年以上、数百億円以上の投資が必要といわれます。この10年で種をまき、水をやり、少しずつ成熟してきたプロジェクトが今、実を結ぼうとしています。新薬という成果として得られる治療薬、ワクチン、診断薬を、1日でも早く病気で苦しんでいる患者さんのところへ届けることにより、顧みられない感染症によりみすみす命を失ったり、後遺症に苦しめられたり、あるいはいわれなき偏見にさらされたりすることを回避できると信じています。
私たちGHIT Fundは、10億人以上の人々を苦しめる顧みられない感染症がなくなり、誰もが健康な世界を目指すという使命のもと、これからも日本発のイノベーション、研究開発を促進し、グローバルなパートナーシップを通じて顧みられない感染症に立ち向かっていきます。ひとりではなく、皆さまと共に。
皆さまの変わらぬご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
國井 修GHIT Fund CEO
中谷 比呂樹会長・代表理事