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熱帯病入門
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ギニア虫症(メジナ虫症)

キーワード 気候変動 貧困・衛生環境 どうやってうつる? 寄生虫 水・土壌

概要

ギニア虫症として知られるメジナ虫症は、汚染された水を飲むことによって感染する寄生虫疾患です。感染した微小なケンミジンコ類(カイアシ類)を含む水を飲むことにより、体内で幼虫が放出され、幼虫は約1年をかけて成長し成虫となり、時にメスの成虫は最大で約1メートルに達することもあります。メスの成虫が幼虫を放出する準備が整うと、通常は脚に強い痛みを伴う水疱が形成されます。その後、数週間かけて虫体はゆっくりと創部から体外へ出てきますが、この過程は非常に激しい痛みを伴い、数週間以上にわたり日常生活に支障をきたします。

この間、多くの患者は仕事や通学、家族の世話を行うことも困難になります。また、傷口からの二次的な細菌感染により、症状がさらに悪化する可能性もあります。致死率は低いものの、患者に深刻な苦痛と経済的負担をもたらす疾患です。現在、有効な治療薬やワクチンは存在しません。

感染経路

ギニア虫症は、汚染された水を通じて拡散します。感染者が、水疱などの熱を持った痛みを和らげるために水に入ることで、成虫は傷口から水中に幼虫を放出します。池や澱んだ水にいるケンミジンコ類が幼虫を飲み込み、ヒトがこうした水源からろ過されていない水を飲むと、感染したケンミジンコを飲み込むことになります。ケンミジンコがヒトの体内に入ると、幼虫が放出され、約1年かけて成虫へと成長します。また、ヒトは感染したケンミジンコを飲み込んだ生魚やカエルを食べることによっても感染する可能性があります。

この疾患は主に、飲料水として池やその他の澱んだ水に頼らざるを得ない農村地域の人々に影響を及ぼします。また、犬やその他の動物にもギニア虫感染が確認されており、地域での根絶をより困難なものにしています。

疾病による負荷

流行地域

  • 1980年代には、アフリカおよびアジアの20か国で発症がみられました
  • 現在、活発な流行が起きているのはアンゴラ、カメルーン、チャド、エチオピア、マリおよび南スーダンの6カ国です。2025年に人間への感染症例が報告されたのはチャド、エチオピア、南スーダンの3カ国のみです
  • 世界保健機関(WHO)はギニア虫症が根絶された国・地域として200カ国を認定しています

患者数・感染者数

  • 1986年には年間約350万件の症例があり、同年「 ギニア虫症根絶プログラム(GWEP:Guinea Worm Eradication Program) 」が始動しました
  • 2025年までに、症例数はわずか10件(主にチャドおよび南スーダン)に減少、症例数は99.99%減となりました
  • 動物感染では2024年は約650例(主に犬)あり、依然として課題とされています
  • 2030年までの完全な根絶達成が目標。達成するとギニア虫症は、天然痘に次いで人類が根絶した史上2番目の感染症となります

予防と治療

この疾患に対する治療薬やワクチンは存在しません。一度虫が傷口から体外へ出はじめたら、数週間にわたり、毎日数センチずつ、棒にゆっくりと巻き付けて取り除かなければなりません。無理に引っ張ると、虫体が途中で切れ、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。鎮痛剤や抗生物質含有の軟膏は、症状の緩和や感染予防に役立ちます。この疾患は一度かかっても防御免疫を獲得することはなく、何回も感染する可能性があります。

1986年以降、「 ギニア虫症根絶プログラム(GWEP) 」は、予防対策を通じてこの疾患の根絶に取り組んできました。主な対策として、すべての飲料水を布またはパイプフィルターでろ過すること、池の水に代わって井戸などの安全な水源を使用すること、そして感染者を水源から遠ざけることが含まれます。地域社会が一丸となって感染者をいち早く見つけるための監視体制を整えています。感染者は、虫が除去されるまで、治療と食事の提供を受けられる治療センターでの滞在ができ、中には症例の報告に対して現金報酬(報奨金)を提供することで早期発見を促している国もあります。

動物の感染については、発見と隔離、飼い主への啓発活動、水源管理に重点を置いた対策が実施されています。こうした取り組みにより、症例数は99.99%減少し、根絶寸前の段階にまで至っています。

ギニア虫症(メジナ虫症)

© Shota Koyano

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飲料水として池などの澱んだ水を利用するイメージ

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ギニア虫除去の様子。患者の左足首のクローズアップ。脚の血管からギニア虫を抜き取る伝統的な方法を示す

CDC Public Health Image Library

※ 疾患の理解を深めるため、一部に具体的な症例写真(臨床画像)が含まれています。

監修: 長崎大学 熱帯医学・グローバルヘルス研究科 教授
プラネタリーヘルス学環 学環長 平山謙二教授

※ 本ページは、専門性を持たない読者に向けて作成された内容です。
顧みられない熱帯病(NTDs)に関する推計値やデータは情報源によって異なる場合があり、最新のデータが得られ次第、変更される可能性があります。最終確認:2026年5月