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STORY

板橋 広宣
投資戦略 兼
ガバメント・リレーションズ
アソシエイトマネージャー
目の当たりにしてきた貧富の差

私はパラグアイで生まれ、ホンジュラス、コロンビア、そして日本で育ちました。各地では、現地の学校、インターナショナルスクール、それから日本人学校に通い、幼い頃から様々なバックグラウンドの人たちと接する機会に恵まれました。またこれらの国々で暮らしたことによって、日本語、スペイン語、英語は自然に身についていき、言語力は私の大きな強みとなりました。

ホンジュラスとコロンビアでは、貧富の差を目の当たりにしました。日本に帰国するたびに、インフラや教育水準など、ホンジュラスやコロンビアと日本との差に気づき、この経験をきっかけに、なぜこのような格差があるのか、また何をすればこの格差を解決できるのか、と幼い頃から考えはじめました。当時は肌で感じるばかりで何をしたら良いのか分かりませんでしたが、中学校の歴史の授業ではじめて国際問題に取り組む国際機関が存在すると学び、将来このような組織で働けば、貧富の差を解決できるのではないかと感じたのを覚えています。

「人権」の促進と擁護に貢献したい

高校卒業後、日本に帰国し、早稲田大学(以下、早大)で国際関係論を専攻することにしました。大学1年生の時に国際関係論の入門科目で、元アメリカ合衆国国連大使のサマンサ・パワー氏の著作、「集団人間破壊の時代―平和維持活動の現実と市民の役割」を読む機会がありました。本書は、2003年にピューリッツァー賞(一般ノンフィクション部門)を受賞し、20世紀に起きた一般市民への迫害・虐殺が起こり続けている中、米国や国際社会がどのような対策を取ったのかについて分析した研究書です。

この本を読んで、「生きる権利」についてだけではなく、人道に対する罪が起きた際に、人間はお互いに責任があるのではないかと深く考えました。「人権」をテーマとした多数の文献を読む中、「人権」とは何かと深く考え、人々の人権が守られれば貧富の差を解決できるのではないかと思い、今後のキャリアでは人権の促進と擁護に貢献したいと思いました。

学生時代には語学にも興味を持っていたため、早大在学中に学内選考を経て、パリ・ソルボンヌ大学(パリ第4大学)に一年間留学しました。パリでの留学は、フランス語のスキルを向上させることができました。さらに、教授やクラスメイトとは「人権」について政治的、経済的や社会的、そして哲学的な視点から幅広く議論することができたため、パリでの一年間は知的に実りのある経験となりました。

キャリアの分かれ目

パリから帰国後、今後どのようにキャリアを積んでいくのか考えはじめました。NYタイムズ紙のニコラス・クリストフ氏などが、ジャーナリストとして様々な国々の人権問題を提起したことから、私もジャーナリズムの分野での経験を積み重ねようと思いました。NYタイムズ紙や英エコノミスト誌でのインターンシップを経験し、人権や国際問題についてさらに専門知識を身につけたいと思い、ジュネーブの国際・開発研究大学院(以下、IHEID)の国際関係修士課程に応募しました。

ジュネーブでの2年間は学問的にも、自分自身の成長にも実りのある経験でした。IHEIDでは、著名な教授と多様な経歴を持つ優秀な学生が集まるため、人権や国際問題について深く討論することができました。また、IHEIDは多くの国際機関が所在しているジュネーブにあるため、国連機関やNGOでのインターンシップを経験することもでき、大学院で学んだ事を実際の仕事現場で応用できたことが、自分自身の成長に繋がりました。

GHIT Fundとの出会い

ジュネーブでの1年目は研究に集中し、大学院2年目から卒論と同時進行に就職活動に取り組むことにしました。近年では、官民がパートナーシップを組んで共同に人権の促進と擁護に取り組んでいることから、幅広く就職先を探しました。人権の促進と擁護に貢献できるのか、それから今後のキャリアパスに繋がるのか、ということ以外にも、就職先を選択する上で私が大切にしていたことは、組織全体を引っ張る強いリーダーシップとロールモデルとなるメンターの存在です。

そこで、「官民パートナーシップ」というビジネスモデルで、日本政府、ゲイツ財団、ウェルカムトラスト、それから民間企業が出資しているGHIT Fund(以下、GHIT)を見つけました。GHITについて調べていた際に、GHITのガバナンスの構成、それからスリングスビーさんの自らの手でGHITを作り出したリーダーシップと、鹿角さんの学歴と幅広いご経験が非常に魅力的で、GHITに応募することにしました。

実りある毎日

入社後は、投資資戦略 兼 ガバメント・リレーションズに所属し、GHITが投資しているプロジェクトの製品開発パートナーの方々、そして政府関係者の方々との関係構築を主に行っていて、仕事の醍醐味は、なんといっても「日々新たな挑戦と学びがある」ということです。

GHITで働く魅力の一つは、誰でも新しいプロジェクトを提案することができることです。例えば、多くの方々に私と同じような経験をしてほしいと思い、インターンシップ制度の導入を提案しました。また、社内ではGHITマネジメントチームが自ら始めた、「GHIT Values推進プログラム」というものがあり、組織全体のチーム間の構築に繋がっています。このプログラムを通して、社風の構築にも携われることは、GHITの一員としての大きなやりがいを感じます。

健康=人間の重要な権利

Health is a Right, Not an Option. この言葉は、GHITのオフィスの壁に書いていて、入社初日に読んだことを今でも覚えています。GHITは、世界の人々が健康であるための活動をしており、「健康」という基本的な人権の促進と擁護に取り組んでいることに他なりません。本年度より、GHITは第2期(2018-2022年度)に入り、今後5年間のストラテジックプランが公開されました。GHITマネジメントチームの一員として、ストラテジックプランを達成するために、GHIT関係者の一人一人と協力し合い、「健康」という基本的な人権の促進と擁護に貢献し続けていきたいです。


※このインタビューは2018年8月に実施されました。
略歴
板橋 広宣
投資戦略 兼 ガバメント・リレーションズ
アソシエイトマネージャー

GHIT Fund 投資戦略 兼 ガバメント・リレーションズにてアソシエイト・マネージャーとして勤務。早稲田大学国際教養学部卒業後、ジュネーブ国際・開発研究大学院(IHEID)にて、国際関係修士号を取得。早稲田大学在学中、パリ・ソルボンヌ大学(パリ第4大学)に一年間交換留学。学生時代に、日本外国特派員協会(FCCJ) 、米国ニューヨーク・タイムズ、英国エコノミスト、IRIN Association、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)でインターンとして勤務。日本語、英語、フランス語、スペイン語のマルチリンガル。2017年10月より現職。

(所属・役職はインタビュー当時のものです)

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(所属・役職はインタビュー当時のものです)