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【イベント報告】「Unseen Enemy」試写会・パネルディスカッションイベント
写真左から、遠藤弘良教授(聖路加国際大学公衆衛生大学院公衆衛生学研究科長)、ジャネット・トビアス氏(Unseen Enemy監督)、ピーター・ピオット教授(ロンドン大学衛生熱帯医学大学院学長、GHIT Fund副会長)、山本尚子氏(厚生労働省大臣官房審議官 国際保健医療展開担当、GHIT Fund評議委員)
2017年6月1日(木)GHIT Fundは、聖路加国際大学公衆衛生大学院とともに、CNNが制作したドキュメンタリー映画「Unseen Enemy」試写会・パネルディスカッションイベントを6月1日に開催しました。
近年、エボラ熱、ジカ熱、インフルエンザなどの新興・再興感染症が世界的な問題になっています。グローバリゼーションが進む現代においては、ひとたび地域的な感染症が発生すれば、瞬く間に世界各地に感染が広がり、世界的な流行「パンデミック」につながり、社会・経済・公衆衛生に与える甚大な影響が懸念されています。このドキュメンタリー映画「Unseen Enemy」は、2017年4月からCNNや世界各国のメディアで放送されて反響を呼び、北京国際映画祭などでも上映され、日本ではこの試写会イベントでの初公開となりました。
パネルディスカッションには、「Unseen Enemy」の監督であるジャネット・トビアス氏、エボラウイルスの発見者の一人として知られる世界的権威であり、映画にも出演しているピーター・ピオット教授(ロンドン大学衛生熱帯医学大学院学長、GHIT Fund副会長)、日本政府のグローバルヘルス政策を推進する山本尚子氏(厚生労働省大臣官房審議官 国際保健医療展開担当、GHIT Fund評議委員)が登壇し、遠藤弘良教授(聖路加国際大学公衆衛生大学院公衆衛生学研究科長)がモデレーターを務めました。
トビアス氏は、「Unseen Enemy」の制作背景には、世界の都市化、人口増加、グローバリゼーションに伴う人の移動、気候変動などが感染症発生・拡大に与える影響への懸念、そして、感染症に対抗するためのイノベーション・科学・技術の重要性を訴えることが目的だったことなどを述べました。ピオット教授は、新興・再興感染症は世界にとって大きな脅威になり続けることを指摘し、今後も感染症そのものの発生を防ぐことは難しいとしながらも、感染拡大を防ぐための対策が重要になることを強調しました。山本氏は、G7/G8サミットや国際会議等において、日本がグローバルヘルスに関する議論をリードしていることや、感染症のための製品開発(R&D)に積極的に取り組んでいることなどが紹介されました。
また、パネリストは、映画の中で描かれたエボラ熱などの治療にあたった医師や看護師などの医療従事者への敬意を示すとともに、今後、グローバルヘルスや感染症対策に携わる未来を担う若い世代への大きな期待を語りました。