Investment

プロジェクト

携帯型・高感度・簡便なPCR技術を基盤としたエボラウイルス病ポイント・オブ・ケア検査システムの開発
  • Project ID
    G2026-123
  • 受領年
    2021
  • 投資金額
    ¥140,000,000
  • 病気
    NTD(Others)
  • 対象
    Diagnostic
  • 開発段階
    Product Design
  • パートナー
    株式会社ダナフォーム ,  国立生物医学研究所(INRB) ,  大阪公立大学

イントロダクション/背景

1. イントロダクション
2026年5月17日にWHOが国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を宣言した、ブンディブギョウイルス(BDBV)によるエボラウイルス病(EVD)は、既存のEVD検査では検出が不十分であり、迅速な診断薬開発が求められています。また、検査室での診断はEVDの確定に不可欠ですが、医療資源の限られる流行地では、患者さんの近くで迅速に結果を得ることが難しい場合が多くあります。本プロジェクトでは、株式会社ダナフォームが開発する携帯型等温核酸増幅プラットフォーム「GenPad」を用い、EVD用ポイント・オブ・ケア(POC)検査システムを開発・検証します。大阪公立大学の国際研究ネットワーク、(株)ダナフォームのGenPad技術、国立生物医学研究所(INRB)の新興感染症対応基盤を組み合わせ、現在のBDBV流行への対応と将来のエボラウイルス病への備えに貢献することを目指します。

2. プロジェクトの目的
本プロジェクトは、GenPadプラットフォームを用いた2種類のEVD診断カートリッジを開発し、臨床性能を検証することを目的とします。現在のPHEIC対応を優先し、BDBVに特化したカートリッジを優先的に開発します。続いて、BDBV、ザイール株、スーダン株を1回の検査で同時に検出し、種別を鑑別できるマルチプレックス・カートリッジを開発します。両トラックは同一のGenPadプラットフォームとプライマー/プローブ設計基盤を共有しています。WHO緊急使用リスト(EUL)の性能目標である検出限界200コピー/テスト以下を満たすことを実験室レベルで達成しています。得られたデータをもとに、WHO EULに向けた技術文書の整備と、必要な規制・公衆衛生上の手続きを経た現場展開につなげます。

3. プロジェクト・デザイン
本プロジェクトは、2つの検査キットを並行開発します。BDBV単独検査キットの開発を優先しつつ、BDBV、ザイールエボラウイルス、スーダンエボラウイルスを1カートリッジで識別できるマルチプレックス版の並行開発を進めます。開発過程には、①BDBVアウトブレイク株のゲノム配列を活用した、試薬の設計、プロトタイプ製造、実験室内評価と②疑似検体および臨床検体による性能検証が含まれます。この2トラック並行開発戦略により、現在の緊急ニーズに応えるBDBV単独検査と、将来のエボラウイルス病アウトブレイクにも対応し得る汎用性の高い検査プラットフォームの構築を目指し、WHO等の国際機関との緊密な協調も行っていきます。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

EVDの流行は、医療・検査インフラが限られるサブサハラアフリカのコミュニティに大きな影響を及ぼします。診断の遅れは、アウトブレイクの長期化、死亡率の上昇、接触者追跡や感染対策の遅延につながります。本プロジェクトは、従来の高度な検査室と同等レベルの精度を維持しつつも、病院、保健センター、地域レベルのアウトブレイク対応現場で使用できる携帯型POC検査システムの開発を通じて、この課題に取り組みます。カートリッジは、微量の全血検体での使用を想定し、約30分で結果を得ること、PCRに匹敵する感度を目標とします。このような検査は、流行地における早期トリアージ、隔離、接触者追跡、サーベイランスを支援します。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

本プロジェクトの革新性は、エボラウイルス病の高感度分子診断を、検査室中心の検査から、流行現場で迅速に使える検査へ近づける点にあります。GenPad Smart BDBVは、(株)ダナフォームが独自開発したSmartAmp等温PCR技術(Eprobe検出)を基盤とするPOCTプラットフォーム「GenPad」を活用し、大型機器を必要としない完全密閉型カートリッジと携帯型デバイスにより、電源・検査設備が限られる流行地での使用を想定して設計されています。携帯型(460 g)で、電池駆動で検査が可能で、検査の実施には特別なトレーニングを必要としません。PHEIC宣言後、100日ミッションに沿ったマイルストーンを設定し、短期間で設計・試作・性能評価・臨床評価へ進む体制そのものも、本プロジェクトの重要な革新性です。

各パートナーの役割と責任

・大阪公立大学
開発戦略策定、疑似検体による性能評価を担当し、科学的リーダーシップとプロジェクト全体の統括を担います。また、規制戦略策定や関係機関との調整を主導します。

・株式会社ダナフォーム
GenPadカートリッジの設計・製造・最適化を担当します。プライマーの設計、カートリッジへの組み込み、反応条件の最適化、試薬製剤化、ISO 13485認証品質マネジメントシステムの下での製造を実施します。

・国立生物医学研究所(Institut National de Recherche Biomédicale /INRB)
コンゴ民主共和国における臨床評価を担当します。進行中のBDBVアウトブレイクの確定EVD患者および症候性対照者の検体へのアクセスを提供し、参照PCR法との盲検比較試験を実施します。また、国内外の公衆衛生関係機関との連絡・調整を支援し、現場での有効活用が進むような支援を行います。

他(参考文献、引用文献など)

1. World Health Organization. Epidemic of Ebola Disease caused by Bundibugyo virus in the Democratic Republic of the Congo and Uganda determined a Public Health Emergency of International Concern. WHO statement. 17 May 2026.
https://www.who.int/news/item/17-05-2026-epidemic-of-ebola-disease-in-the-democratic-republic-of-the-congo-and-uganda-determined-a-public-health-emergency-of-international-concern

2. International Pandemic Preparedness Secretariat. Ebola Bundibugyo (BDBV) outbreak 2026. 2026.
https://ippsecretariat.org/news/category/ebola-bdbv/