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Project IDG2025-211
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受領年2025
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投資金額¥331,404,733病気NTD(Mycetoma)対象Drug開発段階Clinical Phase3パートナーエーザイ株式会社 , Drugs and Diagnostics for Tropical Diseases過去の案件
イントロダクション/背景
イントロダクション
ホスラブコナゾールは、エーザイが創製し、日本では爪白癬治療薬として承認されている経口アゾール系抗真菌薬です。安全性が高く、忍容性に優れ、患者にとって使いやすいことから、真菌性マイセトーマの新たな治療薬として期待されています。
世界保健機関 (WHO) のCSA (Coordinated Scientific Advice) および NTD (顧みられない熱帯病) 部門との協議を踏まえ、本プロジェクトでは、ケニア、セネガル、インドで多国間非盲検型臨床試験を実施し、WHOの推奨取得および薬事承認に向けてエビデンスを創出します。
本取り組みは、GHIT Fundの支援を受けてスーダンで実施し良好な結果と安全性が示唆された第II相無作為化比較試験の成果を基盤としています。今回の臨床試験により、これまでの課題であった「症例数の少なさ」「単一国での実施」「病原体の多様性不足」を補完します。
プロジェクトの目的
セネガル、ケニア、インドといった真菌性マイセトーマの広範な蔓延地域において、Madurella mycetomatis以外の原因菌も含めた臨床エビデンスを取得するための試験を実施し、ホスラブコナゾールの有効性、安全性、薬物動態を評価します。本試験は、スーダンで実施された第II相臨床試験の結果を踏まえ、さらなる科学的根拠を構築することを目的としています。
更に、WHO、Swissmedicなどの機関との協議を含む包括的な薬事戦略を推進し、WHO事前認証 (PQ) 取得に向けた準備を進めます。
プロジェクト・デザイン
本プロジェクトでは、ケニア、セネガル、インドにおいて多国間非盲検型臨床試験を実施し、真菌性マイセトーマ患者を対象にホスラブコナゾール200 mgにおける有効性・安全性・薬物動態を評価します。本試験は、WHOとの協議結果に基づき「オープンラベル(非盲検比較)」デザインを採用しており、現在使用されているものより優れた特性を有する新しい治療選択肢を、より迅速に患者へ届けることを目指しています。被験者登録に約12カ月、その後12カ月の治療およびフォローアップを行い、倫理的・科学的基準に準拠した確実なデータを収集します。
薬事面では、SwissmedicのMAGHP(Marketing Authorisation for Global Health Products)を通じた科学的助言を得ることなどを予定しており、WHO PQチームや流行国の規制当局と緊密に連携し、WHO推奨および各国での承認取得に向けた戦略を策定します。
本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?
真菌性マイセトーマは、ゆっくりと進行しながら組織を破壊する深刻な感染症で、身体の障害や手足の切断、収入の喪失、社会的偏見につながる「顧みられない熱帯病」の一つです。アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、そして一部のヨーロッパの低所得地域を中心に何万人もの患者が存在し、特に南緯15度から北緯30度に広がる「マイセトーマベルト」で多く発生しています。正確な患者数は十分に把握されていないものの、世界では10万人以上が本疾患とともに生活しており、毎年数千人が新たに罹患していると推定されています。しかし、現在利用可能な治療選択肢は限られ、副作用から服薬の継続が難しいといった課題も抱えています。現時点でマイセトーマ患者に特化した無作為化比較試験を経た医薬品はなく、スーダンの治験はこの課題を解決するために実施された初の無作為化比較試験です。
本プロジェクトは、この重大なグローバルヘルス課題の解決に向けて、ホスラブコナゾールの薬事承認と普及に向けた取り組みを推進します。スーダンで実施された第II相臨床試験の結果から、ホスラブコナゾールが安全面や効果の面で良好な特性を有し、且つ患者が使いやすい新たな治療選択肢となることが期待されています。真菌性マイセトーマに特化した唯一の新薬開発プロジェクトとして、切実なアンメットメディカルニーズに応えるものであり、障害の軽減や手足の切断の回避、そしてこの疾患の影響を受け得るコミュニティの生活の質(QOL)の向上に貢献する可能性を有しています。
本プロジェクトが革新的である点は何ですか?
本プロジェクトは、医療資源が限られた流行地域でも患者が利用できるように設計された経口抗真菌薬ホスラブコナゾールの開発を進めることでイノベーションをもたらします。真菌性マイセトーマの既存の治療薬は、長期間にわたり毎日服用する必要があり、副作用のため継続が難しいケースも少なくありません。一方、ホスラブコナゾールは週1回の服用で、食事と一緒に服用する必要がなく、また薬物相互作用のリスクが低いため、生活環境が整っていない地域でも継続しやすい治療薬です。
この治療薬の特性により、投与方法が簡素化され、患者の服薬継続を向上させることができます。これはマイセトーマが蔓延している地域の患者にとって大きな利点です。服用錠数が少なくて済むため、配送コストや患者自身の費用負担軽減にもつながり、より広く利用しやすい手頃な治療となります。
このように、利便性、安全性が高く、実際のマイセトーマ患者の置かれた生活環境に適した治療を提供することで、患者を中心とした実効性あるイノベーションを実現し、治療成績の改善と、顧みられない熱帯病に対応する保健システムの強化に寄与することが期待されます。
各パートナーの役割と責任
DNDiは、プロジェクト全体の統括(実施およびタイムライン管理、報告)、治験のスポンサーとして契約を締結しているパートナーと共に多国間非盲検型臨床試験の実施(プロトコル作成、倫理審査および薬事規制当局への申請、試験の品質保証、データ管理、安全性監視、最終報告など)、さらに病原体診断・技術移転やPK/PD解析に関するパートナー調整を担当します。
エーザイは、プロトコル作成への支援に加え、ホスラブコナゾールの供給(既存バッチの包装、新規バッチの製造、治験サイトへの輸送)を担います。
また、DNDiとエーザイは共同でグローバル薬事戦略を構築し、WHO推奨に向けて薬事規制当局ならびにWHO のPQやNTDチームを含むステークホルダーとの連携・協議を進めます。
Investment
プロジェクト
真菌性マイセトーマに対するホスラブコナゾールのグローバル試験と薬事承認:研究成果を患者のもとへ届けるために




