Investment

プロジェクト

シャーガス病治療のためのホスホジエステラーゼ阻害剤のヒット化合物からリード化合物への最適化

イントロダクション/背景

イントロダクション

シャーガス病の新規治療法の開発は喫緊の課題です。現在使用されている薬剤は、慢性期の感染に対して十分な効果を示さず、治療期間が長く、多くの副作用があります。ホスホジエステラーゼ(PDE)は、トリパノソーマのシグナル伝達における重要であり、ヒトの同種酵素との類似性が乏しいことから、シャーガス病の薬物標的と考えられています。新規作用機序を持つ薬剤の開発が強く求められている現状を踏まえると、PDEは薬物標的として十分に検討に値すると考えられます。

 

プロジェクトの目的

本プロジェクトでは、シャーガス病に対するPDE阻害剤のヒットからリードへの展開を目指します。以前のGHIT資金によるプロジェクトで得られた知見を活用し、構造活性相関(SAR)データを生成して創薬化学への展開を図ります。急性シャーガス病実験モデルを用いて、良好なプロファイルとin vivoでの有効性を持つ化合物の特定を目指します。これにより、リード化合物の特定を通じて、喫緊に必要とされているシャーガス病に対する新規作用機序を持つ薬剤候補の具現化を目指します。

 

プロジェクト・デザイン

新規化合物は、in vitro活性、選択性、DMPK試験による評価を経て、更に化合物の設計・合成・評価の反復サイクルをまわし、続いてin vivoにおけるPK試験を行います。この結果得られる構造活性およびその性質の関係をもとに、化合物デザインの継続的な改善を行います。in vitroおよびin vivoで良好なプロファイルを示す有望な化合物は、急性シャーガス病実験モデルを用いた有効性試験に進みます。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

約700万人が罹患しているシャーガス病の新しい治療法の開発は喫緊の課題です。現在承認されている2つの薬剤、ベンズニダゾールとニフルチモックスは、50年以上前に発見されました。これらの薬物は、長い治療期間(60〜90日)を必要とし、副作用により、治療が中止されるケースが多く存在します。また、既存の薬剤は慢性的な感染には効果がなく、シャーガス病における罹患率および死亡率の大部分はこの慢性感染によるものです。さらに、開発中の新規治療薬候補は多くありません。

本プロジェクトは、短期間で経口投与可能、かつ副作用の少なく、慢性のシャーガス病にも効く新薬の開発を目指しています。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

シャーガス病には有効性が確認された薬剤の標的がほとんどなく、新規作用機序を持つ新規化合物を前臨床のパイプラインに加えることが重要です。本プロジェクトでは、DNDiが推奨するシャーガス病のリード基準に基づき、T.cruziでは未開拓の標的に作用する新規のヒット化合物を最適化し、初期段階のパイプラインに追加します。これにより、慢性期のシャーガス病に対して短期間で経口投与可能な安全で有効な新薬の開発を成功に導く可能性を高めます。

各パートナーの役割と責任

エーザイはプロジェクトリーダーとして、全体的な管理を担当します。また、創薬化学デザインチームの一員として、DMPKおよび安全性評価の専門知識を提供します。

DNDiは、創薬化学デザインチームの一員として、in vitro生物学、急性シャーガス病実験モデルでの有効性試験、標的結合試験を統括します。

UNLPのDr. Taleviのグループは創薬化学デザインチームの一員として活動します。

Fundación INGEBIのDr. Alonsoの研究室はバイオケミカルスクリーニングとT. cruziに対する活性試験を実施します。さらにPDEに関する専門知識を提供します。

IMPaMのDr. Alba Sotoは、T. cruziの慢性期の形態変化した型や株に対する化合物の評価、シャーガス病実験モデルでの試験を担当します。

さらに、DNDi、UNLP、INGEBIおよびIMPaMは、シャーガス病が蔓延する国々でのこれまでの研究経験を活かしてプロジェクトに貢献します。