Investment

プロジェクト

cGMPグレードLmCen-/-ワクチンの第I相臨床試験における安全性および免疫原性の評価

イントロダクション/背景

イントロダクション

リーシュマニア症は世界で1,200万人以上が罹患し、毎年約200万の新規患者が発生する顧みられない熱帯病(NTD)です。皮膚リーシュマニア症(CL)は慢性化し、組織破壊や変形をもたらします。そのほか粘膜型(ML)や内臓型(VL)があり、特にVLは命に関わる深刻な疾患であり、マラリアに次いで致死的な寄生虫疾患です。犬への感染増加から人獣共通感染症としての拡大も懸念されています。感染が治癒した後には長期的な免疫が得られることから、ワクチン開発は可能と考えられますが、現在ヒトに使用可能な予防・治療ワクチンは存在しません。このプロジェクトチームはGHIT支援の先行プロジェクト(G2018-201)で、cGMP条件下でGLPグレードのLmCen-/-ワクチンを製造し、前臨床試験で高い安全性と有効性を示しました。本プロジェクトでは、流行地に居住する健常人を対象に、第I相(フェーズ1)臨床試験で安全性と免疫原性を評価します。

 

プロジェクトの目的

1. ブラジル(新世界)における健常人を対象とした第I相臨床試験により、安全性と免疫原性を評価する。

2. ケニア(旧世界)における健常人を対象とした第I相臨床試験により、安全性と免疫原性を評価する。

 

プロジェクト・デザイン

本研究は先行プロジェクトの成果を発展させるものです。これまでに、(1)前臨床動物モデルでの安全性・有効性の検証、(2)マスターセルバンクおよびワーキングセルバンクの構築、(3)cGMP製造体制の確立、(4)GLPワクチンを用いた非臨床(前臨床)毒性試験、(5)IND申請に必要な資料を準備・整備しました。本プロジェクトでは、栄養不良や下痢、マラリア、シャーガス病、寄生蠕虫感染など共感染が多い流行地域(ブラジル、ケニア)での安全性と免疫応答を評価します。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

CLおよびVLに対する予防ワクチンは、この疾患の世界的制圧・排除を可能にする大きな手段となります。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

これまでヒトに使用可能なリーシュマニア症ワクチンは存在しませんでした。本研究では、CRISPR-Cas9ゲノム編集技術で開発された新規の生ワクチンLmCen-/- の安全性と免疫原性をI相臨床試験により初めて評価します。

各パートナーの役割と責任

オハイオ州立大学:プロジェクトを管理し、臨床試験資材を調達し、ブラジル・ケニアでの試験実施の統括を担当する。

ジェノバ・バイオファーマ:cGMPグレードLmCen-/-ワクチンの供給を担当する。

長崎大学熱帯医学研究所(NEKKEN):末梢血単核球PBMCの採取・解析法の確立、ケニアでの免疫応答の解析、テルモ社との連携による皮内注射デバイスの調達を担当する。

ミナスジェライス連邦大学(UFMG):ブラジルでの倫理承認取得ならびに第I相試験実施を担当する。

HJF Medical Research International (HJFMRI):ケニアでの倫理承認取得ならびに第I相試験実施を担当する。

ジョンズ・ホプキンス大学:臨床プロトコル策定とREDCapデータベース構築の支援を担当する。