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受領年2025
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投資金額¥885,198,600病気NTD(Dengue)対象Vaccine開発段階Phase1 Clinical Developmentパートナー長崎大学 , VLP Therapeutics過去の案件
イントロダクション/背景
イントロダクション
デング熱は深刻な公衆衛生問題であり、世界人口の約50%が感染リスクにさらされています1, 2。現在、2種類の弱毒化ワクチンが薬事承認されていますが、安全性や有効性に改善の余地があり、血清陰性児への接種にはリスクが伴うのが現状です。そのため、新たなワクチン開発が急務となっています。ウイルス様粒子(VLP)ワクチンは、ウイルスの抗原構造が同じなので、高い免疫原性を持ちますが、感染性がないため乳幼児や免疫不全者にも安全に投与できる強みを持ちます。私たちは、新規の4価デングVLPワクチンを開発し、非臨床試験で4つの血清型すべてに対して強い中和抗体価を誘導出来ることを確認しました3。第1相臨床試験では、このワクチンの安全性、免疫原性、有効性を評価し、生産規模も拡大させていきます。本プロジェクトでは、安全でかつ免疫を誘導するために最適な用量を見出すことを目指します。
プロジェクトの目的
第1相臨床試験では、4価DENVLPワクチンの安全性、免疫原性、有効性を評価します。ワクチン接種後に接種者の抗体、中和抗体測定、抗体依存性増強(ADE)についても検証します。また、攻撃接種用デングウイルス株を用いて、感染防御の有効性も評価します。
目的1.GMP製造:DENV 1-4細胞クローンからGMP(適正製造基準)グレードの4価DENVLPワクチンを製造し、品質や安定性を確認します。
目的2.第1相試験:健康成人(18~60歳)を対象に、3段階の用量でプラセボ対照、用量漸増試験を行い、安全性、免疫原性、有効性を評価し、最適な投与量を決定します。
プロジェクト・デザイン
4価DENVLPワクチンのCMC(原薬・製剤のChemistry, Manufacturing, Control)製造とIND提出:VLPセラピューティクスは、4価DENVLPワクチンの製造を行い、臨床試験を策定します。同社グループ会社であるVLPセラピューティクス・ジャパンは、4価ワクチンのGMP製造を行います。製造後、ワクチンは品質試験を受け、米国FDA(食品医薬品局)へのIND(新薬臨床試験開始)申請を行います。
第1相試験:DENVLPワクチンの安全性、免疫原性、有効性を評価する第1相試験を実施します。ワクチンの安全性と免疫原性の評価し、接種後6ヶ月のフォローアップでは攻撃接種用デングウイルス株を用い、感染防御評価を実施し、有効性を確認します。
本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?
デング熱はWHOによって、保健衛生上の世界10大脅威の一つとされ、効果的な治療法がありません。これまでにさまざまなデングワクチンの臨床試験が進行中または完了していますが、すべて弱毒化、不活化、DNA、またはサブユニットワクチンに分類されます4。本プロジェクトは、ウイルス様粒子(VLP)を用いた初のデング熱ワクチン臨床試験です。VLPは感染性のある遺伝物質を含まない非感染性ウイルス粒子で、ワクチンとして使用すると、ウイルス増殖や感染に起因する副反応を引き起こすことなく、強い免疫反応を誘導できる基盤技術です。このため、VLPワクチンは乳幼児や免疫不全者にも接種でき、公衆衛生上の重要なニーズに応えるものとなります。本ワクチンを上市できた場合、デング流行地域の中低所得国で速やかに利用可能となることを目指し、多くの人の命およびよりよい生活に貢献すると考えています。
本プロジェクトが革新的である点は何ですか?
VLPワクチンの革新性は、高い免疫原性と安全性にあります。本ワクチンは、4つのデングウイルス(DENV)血清型すべてに対して強力な中和抗体を誘導し、非感染性であるため、乳幼児や免疫不全者にも安全に接種できます。特に、デング熱流行地域では1歳未満の乳幼児の重症化率が高く、VLPワクチンはこのリスクを低減する可能性があります。また、生ワクチン接種者へのブースターワクチンとしての応用も期待されます。本プロジェクトでは、このVLP技術を活用した新規4価デング熱ワクチン候補を開発し、マウスおよびサルにおいて抗体依存性感染増強(ADE)を引き起こすことなく、すべての血清型に対して強力な中和反応を誘導することを実証しました。これにより、安全で効果的なデング熱ワクチンの実現を目指すことができると考えています。
各パートナーの役割と責任
VLPセラピューティクスは本プロジェクトの代表研究開発機関として、すべての活動、委受託契約、および共同研究を統括・実施します。同社はプロジェクトのデザイン策定し、全体的なデータ解析を担当します。
長崎大学熱帯医学研究所は共同研究機関として、同大森田公一教授チームが有する、デングウイルス研究の深い見識と経験を活かし本開発に貢献し、本デングVLPワクチンの4価の中和抗体価測定とADEアッセイを実施します。
ジョンズ・ホプキンス大学は受託機関として、デングワクチンの臨床試験を実施し、ワクチンの有効性を評価するチャレンジモデリング、およびデングワクチン開発への長年の経験を持つアンナ・ダービン教授の協力の下、第1相臨床試験を実施します。
他(参考文献、引用文献など)
1. Cogan, J.E. Dengue and Severe Dengue. World Health Organization (2023).
2. Bhatt, S. et al. The global distribution and burden of dengue. Nature 496, 504–507 (2013).
3. Thoresen D, Matsuda K, et al. A tetravalent dengue virus-like particle vaccine induces high levels of neutralizing antibodies and reduces dengue replication in non-human primates. J Virol. 98 (2024)
4. Dutta, S. K. & Langenburg, T. A Perspective on Current Flavivirus Vaccine Development: A Brief Review. Viruses 15, (2023).
5. Halstead, S. B. et al. Dengue hemorrhagic fever in infants: research opportunities ignored. Emerg. Infect. Dis. 8, 1474–1479 (2002).
Investment
プロジェクト
新規デング熱ウイルス様粒子(VLP)ワクチン第1相臨床試験