プレスリリース

May 31, 2013

日本の製薬企業・研究機関と連携し 開発途上国における感染症制圧に向けたスクリーニングプログラムを始動

一般社団法人グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund : GHIT Fund)は、エイズ、結核、マラリア、顧みられない熱帯病(NTDs)等、特に開発途上国で蔓延する感染症に対する日本発の新薬開発に向け、日本の製薬企業や研究機関が保有する医薬品化合物のライブラリーを用いて候補化合物を探索するプログラム(以下、スクリーニングプログラム)を始動しました。また、本プログラム実施に先立ち、各製薬企業や研究機関と覚書(MOU)を締結しましたのでお知らせ致します。

 

GHIT Fund初の事業となる本スクリーニングプログラムを通じて、日本の製薬企業と研究機関が保有する医薬品化合物ライブラリーの中から、途上国の感染症に効果が期待される候補化合物の探索を行います。スクリーニングプログラムの実施にあたっては、日本の製薬企業、研究機関、主に結核、マラリア、顧みられない熱帯病(NTDs)の医薬品研究開発を専門に行う団体(Product Development Partners: PDP)である、The Global Alliance for TB Drug Development (TB Alliance)、Medicines for Malaria Venture (MMV)、Drugs for Neglected Diseases initiative (DNDi)が共同で進めて行きます。

 

今後、日本の各製薬企業や研究機関は、PDPと医薬品化合物ライブラリーのスクリーニングに関する委託契約を個別に締結し、スクリーニングプログラムを実施することになります。

スクリーニングプログラムの実施に関してMOUを締結した案件は以下の通りです。

 

【薬剤耐性結核に対するプログラム】

PDP: The Global Alliance for TB Drug Development

提携先:エーザイ株式会社、塩野義製薬株式会社、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社

 

【マラリアに対するプログラム】

PDP: Medicines for Malaria Venture

提携先:エーザイ株式会社、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、北里研究所、微生物化学研究所(微化研)

 

【NTD(リーシュマニア症、シャーガス病、アフリカ睡眠病)に対するプログラム】

PDP: Drugs for Neglected Diseases initiative

提携先:エーザイ株式会社、武田薬品工業株式会社、北里研究所、微生物化学研究所(微化研)

 

以上、13件の新たなパートナーシップの構築に関して、GHIT Fund CEOのB.T. Slingsbyは次のように述べています。「スクリーニングプログラムは、GHIT Fundの主事業である共同研究・開発の連携促進とその支援の第一歩となります。GHIT Fundは日本の企業や研究機関のイノベーション創出能力を最大限に引き出し、このスクリーニングプログラムを足がかりにして、グローバルヘルスの課題解決に向けて取り組んでいきます。」

 

また、GHIT Fund会長・代表理事の黒川清は、「多くの知見をもつパートナーと連携することで、スピーディでインパクトのある支援を継続して行っていくことが重要です。」と述べています。

 

GHIT Fundは、今後さらに多くの製薬企業や研究機関にスクリーニングプログラムへの参画を促し、再度公募を行うことを検討しています。また、GHIT Fundはエイズ、マラリア、結核、顧みられない熱帯病の新薬、ワクチン、診断薬等の開発のためのグローバルな連携に対しても助成して行きます。助成対象となるためには、すでにグローバルヘルス技術開発に関して実績がある日本と海外の企業、研究機関等がパートナーシップを結ぶことが基本用件となります。

 

世界では、10億人を超える最貧困層がHIV/AIDS、マラリア、結核、顧みられない熱帯病により健康を害し、収入を得たり、必要な教育を受けるために本来注がれるべき時間や労力が奪われています。今後とも、GHIT Fundは、こうした開発途上国における感染症の制圧を目指し活動してまいります。