プレスリリース

March 31, 2022

グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)マラリアの製品開発に約7.4億円の投資を決定

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下、GHIT Fund)はこのたび、マラリアに対する製品開発3件に対して、総額約7.4億円の投資を行うことを決定しました*。(別紙1、2)

 

GHIT Fund CEOである國井修は、「このたび、新たにマラリアの製品開発への投資できることを大変嬉しく思います。マラリア制圧のためには既存のイノベーションだけでは十分ではなく、継続的に新たなイノベーションが必要とされています。今回採択された案件はマラリア制圧に向けたグローバル戦略目標に対して寄与するツールとなり、大きなインパクトをもたらしてくれることを期待しています。」と述べています。

 

熱帯熱マラリアを予防するモノクローナル抗体の前臨床開発

マラリア流行地の小児への予防接種として世界保健機関(WHO)から推奨された、世界初のマラリアワクチンRTS,S/AS01 (RTS,S)は、熱帯熱マラリア原虫のCSタンパク質(CSP)のアミノ酸リピート領域に対して高力価の抗体を誘導して効果を発揮します。このRTS,Sを接種されたヒト血中から防御効果の高いモノクローナル抗体(mAb)が得ることができれば、マラリア対策のツールになることが期待されています。本プロジェクトは、マラリア予防のための強力な抗CSP mAbの開発を目的とした前臨床開発です。GHIT Fundは、本プロジェクトに対して約5.4億円を投資します。

 

感染防御・伝播阻止両機能を発揮する三日熱マラリアマルチステージワクチン

金沢大学が中心になって独自開発したワクチンプラットフォームを技術基盤として、三日熱マラリア原虫の前赤血球ステージ及び生殖ステージに作用し、長期間効果が維持できる三日熱マラリアマルチステージワクチンの開発ならびに、1つのワクチンで熱帯熱及び三日熱両マラリアに効果的な2価ワクチンの開発プロジェクトに対して、GHIT Fundは約6,900万円を投資します。日本、イギリス、ブラジル、ブルキナファソの研究者が参加するコンソーシアムによって、実用化に向けてのワクチン基盤技術の導出・前臨床開発への移行を目指します。

 

抗マラリア薬リード化合物探索

本プロジェクトは、MMVとアステラス製薬が共同で実施したマラリアに対する化合物探索プロジェクトの後継となる、最適化研究につながるリード化合物特定を目的としたプロジェクトです。MMVとアステラス製薬は、化合物探索プロジェクトで約20,000化合物の探索を行い、異なる化学構造を有する4種の候補化合物シリーズを特定しています。本プロジェクトではそれら化合物の新しい類縁体を合成し、構造活性相関や薬物動態、安全性情報の解析・収集を行います。GHIT Fundは、本プロジェクトに対して約1.3億円を投資します。

 

2022年3月31日現在、61件のプロジェクトが進行しており、内訳として、28件の標的・探索研究、21件の非臨床試験、12件の臨床試験**となります。(別紙3)GHIT Fundのこれまでの累積投資金額は約276億円となります。

 

 

注記

* これらの案件は、2021年6月〜2022年1月にかけて実施した公募RFP2021-002(標的研究プログラム、スクリーニングプログラム、ヒット・トゥ・リードプログラム、製品開発プログラム)の中から選定され、2022年2月に開催された理事会にて承認されたものです。

* *診断薬開発において、途上国における 患者サンプルを使用した臨床的妥当性の評価を行う段階に入った案件については、表現の便宜上、臨床試験として扱う。