プレスリリース

November 4, 2021

グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)結核、シャーガス病、マラリアの製品開発に約7.5億円の投資を決定

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下、GHIT Fund)はこのたび、結核、マラリア、顧みられない熱帯病(NTDs)であるシャーガス病に対する製品開発6件に対して、総額約7.5億円の投資を行うことを決定しました*。(別紙1、2)

 

GHIT FundのActing CEO(CEO代行)である山部清明は、「このたび、新たに結核1件、マラリア2件、シャーガス病3件の製品開発に対して投資できることを嬉しく思います。長引くコロナ禍の中でも、GHIT Fundは国内外の製品開発パートナー、資金拠出パートナーとの連携をさらに強め、顧みられない病気に苦しむ患者のための製品開発を着実に推進していく所存です。」と述べています。

 

結核診断

結核の蔓延地域において、主に社会的弱者を対象とした喀痰による結核診断を改善するため、喀痰排出を促進する「ラングフルート」、その廉価版である「ラングフルートエコ」と呼ばれる低周波を発生するリードを含むフルート状のデバイスの実践的有用性の評価研究に対して約8,300万円を投資します。ラングフルートは2000年初頭に開発され、呼気終末圧を上げ、音波の共鳴によって気道内壁に固着している喀痰を排出しやすくするPEP(Positive Expiratory Pressure)機器です。一方、ラングフルートエコは、近年開発された紙ベースのプロトタイプで、資源が限られた地域でも用いることができる、安価で使い捨て可能なポイントオブケアツールです。

 

妊娠マラリアワクチンと抗マラリア薬

毎年約1万人の妊婦及び20万人の乳児を死に到らせる妊娠マラリアを予防するワクチン候補PAMVACとPRIMVACの臨床開発に約4.7億円を投資します。PAMVACとPRIMVACは、既にサルの免疫原性試験や第I相試験の結果から、安全性およびワクチン作製に用いた標準株原虫に対する抗体反応が確認されていますが、すでに確認されている変異株に対応するためワクチンの最適化が必要になっています。また、抗マラリア薬に対する薬剤耐性の課題にも取り組むため、新たな作用機序を持つ新規モダリティとしての標的タンパク質分解誘導剤の開発・実証研究に対して約8,400万円を投資します。

 

シャーガス病治療薬

シャーガス病の病原体であるクルーズトリパノソーマ(T. Cruzi)の増殖に不可欠な分子の中から特定されたオートファジーを制御する創薬標的分子の開発を目指し、新たな抗T. cruzi薬のヒット化合物の探索を行います。この探索研究に対して約9,900万円を投資します。また、第一三共株式会社と武田薬品工業株式会社は、DNDiと連携して、各社が保有する化合物ライブラリーを用いて、シャーガス病の治療薬開発を目的としたスクリーニングを行います。これらのスクリーニングに対して約2,000万円を投資します。

 

2021年11月4日現在、63件のプロジェクトが進行しており、内訳として、29件の標的・探索研究、24件の非臨床試験、10件の臨床試験**となります。(別紙3)GHIT Fundのこれまでの累積投資金額は約269億円となります。

 

 

注記

* これらの案件は、2020年11月〜2021年7月にかけて実施した公募RFP2021-001(標的研究プログラム、スクリーニングプログラム、ヒット・トゥ・リードプログラム、製品開発プログラム)の中から選定され、2021年7月に開催された理事会にて承認されたものです。

* *診断薬開発において、途上国における 患者サンプルを使用した臨床的妥当性の評価を行う段階に入った案件については、表現の便宜上、臨床試験として扱う。