プレスリリース
グローバルヘルス技術振興基金 富士フイルムとFINDが開発する革新的な、結核の高感度・迅速診断キットに投資
公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下、GHIT Fund)はこのたび、富士フイルム株式会社(以下、富士フイルム)と、スイスの非営利組織Foundation for Innovative New Diagnostics (以下、FIND)が行う、結核の高感度・迅速診断キット開発(以下、TB-LAM1)に対して約4億2000万円を投資することを発表いたします2。
世界保健機関(以下、WHO)によれば、結核は世界の死因第10位であり、2016年には全世界で170万人が結核で死亡しました。そのうち、95%が低中所得国で発生しています。特に、結核が重症化しやすいHIV感染者は、早期検査・早期治療が必要とされています。
一般的に、結核診断は患者の「喀痰(かくたん)」を検体として用いることが主流ですが、一方で、特にHIV患者から喀痰を採取することが困難なケースもあり、早期に適切な診断ができないことが課題になっています。そこで、富士フイルムとFINDが開発するTB LAMは、患者の喀痰を用いずに、患者の尿を用いた画期的な高感度・迅速診断キットです。従来の結核診断法と比較しても、安価で、高い診断能を有しており、大きな検査装置や電源機器を必要とせず、医療インフラが不十分な低中所得国において効果を発揮することが期待されています。
GHIT FundのCEOであるBT・スリングスビーは、このたびの発表に関して次のように述べています。「2035年までに結核による死亡を95%削減し、新たな感染者数を90%削減するという、世界保健機関が掲げる目標を成し遂げるためには、画期的な、高感度・迅速診断のPOCT3キットが必要とされています。富士フイルムとFINDが開発しているTB-LAMへの投資は、そうした目標達成に向けた重要な一歩です。」
今後、このプロジェクトでは、WHOからの早期推奨取得を目指し、低中所得国における臨床評価等を行います。
1. LAM: リポアラビノマンナン(Lipoarabinomannan):結核を検出するためのバイオマーカーとして、血液、尿、喀痰などを検体とし、広く研究されている物質。非常に安定であり、結核罹患者において長期間検出可能という特長があります。
2. GHIT Fundはこれまでにこのプロジェクトに対して、約2億1600万円の投資を行っています。今回の投資と合わせて、累積投資額は約6億3600万円となります。
3. ポイント・オブ・ケア・テスト(POCT):患者の近くで検査を行い、その場で迅速に診断ができる検査システム。