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Project IDT2025-157
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受領年2025
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投資金額¥99,989,845病気Malaria対象Vaccine開発段階Antigen Identificationパートナー愛媛大学 , 住友ファーマ株式会社 , Statens Serum Institut (SSI) , コペンハーゲン大学 , PATH
イントロダクション/背景
イントロダクション
実用化されたRTS,S/AS01とR21/Matrix-Mマラリアワクチンは、効果と持続性に問題があり、次世代ワクチンの開発が急務である。本プロジェクトでは、感染阻止と赤血球期(BS)両方に有効な多段階ワクチンを開発する。これにより、効果と持続性が改善され、低コスト、冷蔵保存を必要としないワクチンが可能となる。
上記の実用化されたワクチンは、肝臓の原虫数を減少させ、その後肝臓から放出される原虫数も減少させる。最近、熱帯熱マラリア原虫のRH5抗原を用いたBSワクチンが、アフリカの幼児に臨床効果を示している。Circumsporozoiteタンパク質(CSPまたはCS)とBS抗原を組み合わせた多段階ワクチンは、相乗的に作用し、単一の抗原ワクチンよりも高い防御効果を示す可能性がある。このアプローチは、流行地住民の罹患率と死亡率を減少させる改良型マラリアワクチンに対して、WHOが定める優先製品特性(PPC)要件の達成に寄与する1。
プロジェクトの目的
本プロジェクトの目的は、ナノ粒子プラットフォームに提示した多段階(CS+BS)マラリアワクチン抗原を、強力なアジュバントと組み合わせて製剤化し、その前臨床データを得ることである。熱帯熱マラリア原虫の感染阻止(CS)と赤血球期(BS)の両方を標的とするワクチンは、連続する2つの発育段階を阻害することにより、相加的あるいは相乗的な防御効果を発揮することが期待される。つまりこの二重標的戦略は、現在のCSワクチン(RTS,S/AS01, R21/Matrix-M)では完全な防御が得られないヒトにおいて、病気への進行を抑えることが可能と考えられる。このプロジェクトのマイルストーンは以下の通りである:
1. ナノ粒子プラットフォームを用いたCS抗原およびBS抗原の作製と動物実験による有効性の検証
2. 動物実験によるCS抗原粒子とBS抗原粒子の混合投与による有効性の検証
3. CS抗原とBS抗原の両方を単一の粒子上に発現するワクチン抗原粒子の作製
プロジェクト・デザイン
本プロジェクトは、我々がこれまでに確立した研究基盤と実績を活かして推進する。
1. 信頼性の高いCSワクチン候補の前臨床有効性評価系
2. ナノ粒子プラットフォームによるCS抗原の免疫原性の改善
3. 過去のPhase 3で臨床的に検証済みの、前臨床・臨床試験に使用可能なナノ粒子プラットフォーム
4. 強力なBS抗原の同定
5. PfRipr中の最も有効な領域の同定
6. 強力なTLR-7アゴニストアジュバント
まず、臨床的に有効であるAP205ナノ粒子プラットフォームにCSあるいはBS抗原を提示した粒子を作製し、動物実験で個別抗原の有効性を評価する。その後、AP205粒子上に提示されたCS抗原とBS抗原の混合抗原を動物実験で評価する。この段階では、この混合抗原の共投与によって各抗原の免疫原性が維持されるか、あるいは増強されるかを判定し、潜在的な免疫干渉や相乗効果を同定し、投与すべき最適なCSとBSの比率を決定する。 混合投与実験の結果により、CSとBSの比率が決定されれば、AP205プラットフォーム上でCS抗原とBS抗原の両方を提示する同一ナノ粒子を構築し、その特性を評価する。製造が容易な同一のナノ粒子におけるこの共抗原提示アプローチは、簡便で費用対効果の高い、多段階ワクチンの作製という本プロジェクトの目標に合致している。
本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?
マラリアは近年増加に転じ、2023年には患者数2.6億人、死者60万人となった2。マラリア感染阻止ワクチンは、RTS,S/AS01とR21/Matrix-Mの2種類が実用化されたが、効果が限定的かつ持続期間が短く比較的高価である。そこで低コストで高い有効性と持続性を持つ新規ワクチンの開発が急務である。
多抗原、多段階ワクチンは、マラリア原虫の2つの連続した発育段階を標的とすることにより、相加的または相乗的な有効性を獲得出来る可能性があり、それによりマラリア発病や免疫回避の懸念を軽減できる。感染阻止ワクチン接種後のヒトマラリア感染試験(CHMI)で防御されなかったヒトでも、肝臓から血中に放出される原虫数が90%以上減少し、赤血球への感染力が低下した。したがって、中程度の効果のBSワクチンでも、感染阻止ワクチンと組み合わせることにより、全体的なワクチン効果を向上させることが可能である。
本プロジェクトが革新的である点は何ですか?
本プロジェクトは、連続する2つの発育段階のCS抗原とBS抗原を単一AP205ウイルス様ナノ粒子上に共提示させ、ワクチン製造と製剤化プロセスを簡略化することを目指す。これにより、効果と持続性が増強され、製造コスト削減と冷蔵保存が不要となり、マラリア流行地域におけるワクチン接種が容易な革新的マラリアワクチンが開発できる。
また、本プロジェクトは、新規抗原を特定し、プラットフォーム技術を活用するというGHITのトランスレーショナル・リサーチプログラムの目的に合致している。さらに、これまでのGHIT支援プロジェクトで達成したマラリアワクチン抗原と新規アジュバントの研究成果を基礎としている。このアプローチは、マラリア原虫における抗原多型性と免疫回避の課題に対処するだけでなく、マラリア制圧に向けての包括的なソリューションを提供する。
各パートナーの役割と責任
PATHは、製品開発とプロジェクト管理の豊富な経験を有し、財務を含む助成金の管理を担当。さらに、PATHはGSKとRTS,S/AS01の使用契約を結んでいる3。
愛媛大学は、マラリアワクチンに関する広範な知識と経験を有し、BSワクチン候補PfRipr5の製造および非臨床試験を担当。
住友ファーマは、数十年のワクチンとアジュバントの研究開発の経験を有し、各種ワクチン候補を前臨床・臨床段階に進めてきた。住友ファーマはSA-1およびSA-2アジュバントを提供し、実験計画とデータレビューに関与。
SSIは、マラリアワクチンにおけるリード最適化から開発の数十年の経験を有し、CSワクチン抗原の設計と製造を担当。
UCPHはcVLPの権利を所有し(AdaptVac社にライセンス供与)マラリア、COVID-19等のワクチン開発の経験が豊富である。初期段階、移管、CMOでのcGMP製造中のサポートを担当。
他(参考文献、引用文献など)
1. World Health Organization. Malaria vaccines: preferred product characteristics and clinical development considerations. Accessed July 23, 2025.
https://www.who.int/publications/i/item/9789240057463
2. World Health Organization. World Malaria Report 2024. Accessed December 23, 2024.
https://www.who.int/teams/global-malaria-programme/reports/world-malaria-report-2024
3. Locke E, Flores-Garcia Y, Mayer BT, et al. Establishing RTS,S/AS01 as a benchmark for comparison to next-generation malaria vaccines in a mouse model. npj Vaccines. 2024;9(1):1-14. doi:10.1038/s41541-024-00819-x
Investment
プロジェクト
PfCSPおよびPfRipr5を基盤とした熱帯熱マラリア多段階ワクチン候補の開発




