Investment

プロジェクト

AIを活用した Cell Painting アッセイによる抗マラリア化合物作用機序解析プラットフォームの開発 
  • 受領年
    2025
  • 投資金額
    ¥99,628,772
  • 病気
    Malaria
  • 対象
    Drug
  • 開発段階
    Target Identification
  • パートナー
    エルピクセル株式会社 ,  University of Dundee ,  Medicines for Malaria Venture (MMV)

イントロダクション/背景

イントロダクション

マラリア原虫Plasmodium falciparumに対するハイスループットスクリーニングにより、強力な抗マラリア活性を持つ多くの新規化学物質が発見されてきた。しかし、これらのヒット化合物の大部分は細胞死を誘導する表現型スクリーニングから得られており、その作用機序は未解明なものが多い。

本プロジェクトは、ハイスループット成長阻害アッセイとCell painting 解析技術を組み合わせた抗マラリア化合物探索プラットフォームを開発することを目的とする。本プラットフォームは、マラリア感染赤血球のハイコンテントイメージング画像をAI技術を活用することで生物学的効果に基づいてクラスタリングし、作用機序の新規性に応じて化合物シリーズを早期に前進させるかどうかの意思決定を支援すると同時に、マラリア原虫の成長阻害に対する効果に関する情報を提供する。

 

プロジェクトの目的

本プロジェクトは、抗マラリア化合物の作用機序分類や、新たな表現型の提示に資する、ハイスループットで情報量豊富なプラットフォームの実現を最終目的とする。本プロジェクトでは、最先端の細胞イメージングとAIによるパターン認識を活用し、化合物の生物学的影響、すなわち作用機序や経路の新規性に関する情報を提供する堅牢かつ再現性のある手法を開発することを目指す。本手法により、化学的および生物学的特性に基づく化合物のクラスタリングが可能となり、ヒット創出プロセスにおいて数ヶ月の時間短縮が期待される。

 

プロジェクト・デザイン

本プロジェクトは、薬剤処理を施したマラリア原虫Plasmodium falciparumのハイコンテントイメージングおよびその後の解析を基盤とする。初期のアッセイ開発段階では、マラリア感染赤血球を対象として、染色、固定、イメージングの手法を最適化し、作用機序が同定されている化合物処理群と対照群それぞれについて画像データを取得する。本データを用いることで、48時間のライフサイクルにわたるマラリア原虫の形態および化合物処理による影響を分類するためのAIモデルの予備的な開発が可能となる。化合物処理方法およびイメージングのパラメータが最適化された後、作用機序の多様な範囲をカバーする化合物セットを用いてデータ収集を行い、AIモデルの開発を洗練し検証する。最終的には、AIモデルをクラウドベースのユーザーフレンドリーなアプリケーションとしてパッケージ化し、研究者が専門的なAI知識なしに生成した画像解析を実行できるようにする。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

マラリアは2023年に約2億6300万件の新規症例と597,000人の死者をもたらした。1 これらの多くは、5歳未満の子供や妊婦に発生している。さらに、東南アジアおよび最近の東アフリカにおいて、アルテミシニンおよびその類似薬剤に対する耐性が出現しており、マラリアの制御と根絶に対する脅威となっている。以上の背景から、既存の耐性メカニズムに影響されない新規な作用機序を有する新たな治療法の開発が切実に求められている。本プロジェクトは、抗マラリア化合物の作用機序を迅速に特定する化合物プロファイリングプラットフォームの開発を目指す。このプラットフォームにより、医薬品探索において最優先すべき化合物シリーズに注力し、標的としない作用機序を持つ化合物の選別が可能となる。また、最先端の寄生虫学、イメージング、AI解析技術を活用することで、表現型スクリーニングで得られるヒット化合物の作用機序解明に要する時間とコストの削減が期待される。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

Cell Paintingアッセイは、蛍光染色剤や蛍光レポーター用いて細胞構造や細胞小器官を可視化し、これらの細胞特徴を定量化するものであり、様々な疾患モデルにおける医薬品探索および作用機序研究の促進に寄与することが示されている。本プロジェクトは、医薬品探索研究、マラリア寄生虫学、ハイコンテントイメージング、及びAI画像解析における専門知識を有する学際的なチームを形成し、これまで解明が進んでいなかった抗マラリア化合物の作用機序分類に焦点をあてて手法開発に取り組む点で革新的である。

各パートナーの役割と責任

本プロジェクトは、MMV、ダンディー大学、LPIXELが連携する学際的共同研究である。MMVは、作用機序が多様な化合物のキュレーションを主導し、アッセイに向けた試料の準備を行う。ダンディー大学は、マラリア原虫培養の最適化、化合物の処理、ハイコンテントイメージングおよび解析を担当する。LPIXELは、作用機序の分類を実現するAIモデルの開発、クラウドプラットフォームへの実装を行う。

他(参考文献、引用文献など)

1.World Health Organisation (2024) World Malaria Report 2024 Available at: https://www.who.int/teams/global-malaria-programme/reports/world-malaria-report-2024 (Accessed 19 February 2025)

 

* Graph, Chart etc. can be attached to the document and if you would like to attach photos, please submit those photos with the Development Partner Profile. Please note that high-resolution photos (JPEG) are necessary. 

 

 

Red blood cells infected with Plasmodium falciparum. Parasites express green fluorescent protein (GFP), nuclei are stained with Hoechst, and the red blood cell membrane labelled with wheat-germ agglutinin coupled to AlexaFluor633.