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受領年2024
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投資金額¥15,945,864病気NTD(Chagas disease / Leishmaniasis)対象Drug開発段階Target Identificationパートナー長崎大学 , 東京大学 , Drugs for Neglected Diseases initiative , 北里大学
イントロダクション/背景
イントロダクション
シャーガス病は原虫であるトリパノソーマ・クルージ(T. cruzi)によって引き起こされる寄生虫症で、ラテンアメリカでは600万人以上が罹患して生命を脅かされています。現在、患者さんが利用できる治療薬はベンズニダゾールおよびニフルチモックスの2種類のみです。いずれの薬剤も治療期間が長い(60~90日)、重篤な副作用がある、副作用による患者さんの脱落率が高い、重篤な慢性症状の患者さんには効果が証明されていないなど、使用を制限する欠点があります。また利用可能なワクチンもありません。そのため、高い有効性と安全性を備えた、現場に適した短期間の経口投与で治療可能な新しい薬剤の開発が求められています。
プロジェクトの目的
本プロジェクトの目的は天然物化学的アプローチを用いて微生物培養液をスクリーニングすることにより、GHIT/DNDiのヒット基準を満たし、さらなる開発が可能なシャーガス病治療薬の新規シード化合物(薬を開発する元になる化合物)を同定することです。
プロジェクト・デザイン
本プロジェクトではアカデミア3機関(北里大学、長崎大学、東京大学)およびDNDiがそれぞれの専門を活かして、1年半の研究期間に微生物の生産するシャーガス病治療薬シード化合物を少なくとも5つ同定することを目指します。また、プロジェクトの過程で同定されるシャーガス病治療薬シード化合物は内臓リーシュマニアを引き起こすリーシュマニア原虫に対する活性も評価して創薬ポテンシャルを検証します。
本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?
本プロジェクトで見出されるシャーガス病の治療薬シード化合物を元にして開発研究を進めることで高い有効性と安全性を備えた、短期間の経口投与で治療可能な新しい薬剤が開発されることでシャーガス病に苦しんでいる患者さんに新たな治療オプションを提供することが期待されます。
本プロジェクトが革新的である点は何ですか?
これまで多くの探索源からシャーガス病の治療薬シード化合物のスクリーニングが実施されてきました。しかし微生物培養液からの天然物化学的な探索は精製および活性評価を反復する煩雑なプロセスを経る必要があることからほとんど実施されてきませんでした。本プロジェクトでは長崎大学の有するハイスループット評価系との協働により未探索な微生物培養液からシャーガス病の治療薬シードを探索する点が大きな特徴です。
各パートナーの役割と責任
北里大学は微生物培養液の調製、スクリーニング通過した微生物の培養、培養液からのシャーガス病治療薬シード化合物の精製、構造決定を担当します。
長崎大学は北里大学が調製する微生物培養液、精製画分およびシード化合物の活性(シャーガス病を引き起こす原虫に対する活性)を評価します。
東京大学は見出されたるシャーガス病治療薬シード化合物についてリーシュマニア原虫に対する活性も評価して内臓リーシュマニア治療薬としての創薬ポテンシャルを検証します。
DNDiはアドバイザリーの役割を担い、プロジェクトの進捗管理、データ分析、ヒットの優先順位付けを行い、シード化合物の開発に向けたサポートを行う。
Investment
プロジェクト
微生物培養液からのシャーガス病治療薬シード化合物の探索