Investment

プロジェクト

DNDiと塩野義製薬によるスクリーニングプロジェクト
  • 受領年
    2025
  • 投資金額
    ¥23,200,938
  • 病気
    NTD(Chagas disease)
  • 対象
    Drug
  • 開発段階
    Target Identification
  • パートナー
    塩野義製薬株式会社 ,  Drugs for Neglected Diseases initiative

イントロダクション/背景

イントロダクション

アメリカトリパノソーマ症としても知られているシャーガス病は、 原虫の一種であるT. cruzi によって引き起こされる重篤な疾患であり、主にサシガメによる刺咬により媒介され感染者の血液の輸血・垂直感染によっても感染します。シャーガス病は自覚症状のない状態が何年も続き、最終的に心臓や他の重要臓器に回復不能なダメージを与えます。ラテンアメリカでは21か国でシャーガス病が広がっており、他の寄生虫病と比較して多くの死者を出しています。WHOによると、600万人以上が罹患しており、流行国において重大な公衆衛生上の脅威となっています。さらに人の移動や気候変動、森林破壊などにより、非流行国にも広がりを見せています。現在の治療にはベンズニダゾールやニフルチモックスが使われますが、いずれも50年以上前に見つかった薬剤であり、少なくとも8週間の服用が必要で、時として重篤な副作用をもたらします。また重度の慢性症状を持つ患者さんに対しては有効性が証明されていません。したがって、妊娠中や授乳中の女性を含めた全てのシャーガス病の患者さんに対し、安全で有効な新規経口薬を見出し、その開発パイプラインを充実させることが急務となっています。

 

プロジェクトの目的

本プロジェクトの目的は、塩野義製薬が提供するユニークな化合物ライブラリーの中から、T. cruziに対して活性を持つ化合物シリーズを見出すことです。

 

プロジェクト・デザイン

本プロジェクトのためにデザインされた多様な化合物構造を持つ塩野義製薬の約42,000化合物を用い、細胞内アマスチゴート期(amastigote stage)に対するハイスループットスクリーニングが韓国パスツール研究所で実施されます。単一濃度での評価と、続く濃度依存性評価を経て、GHIT/DNDi のクライテリアに合致したヒットシリーズが選抜されます。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

シャーガス病は100年以上前に発見されましたが、この顧みられない熱帯病に対する治療法は、時として重篤な副作用をもたらす2つの薬剤のみです。開発パイプラインにもほとんど化合物がなく、治癒および命に係わる合併症を防ぐことができる新薬の開発が急務となっています。我々は、適切な作用メカニズムを持つ新たなヒット/リードシリーズを見つけることで、安全かつ有効な薬剤の開発につながり、シャーガス病の治療パラダイムを変えることができると期待しています。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

塩野義製薬にてユニークかつ構造多様性を持つ 約42,000化合物のライブラリーがデザインされました。これにより、新規で魅力的な構造を持つ有望ヒット化合物が高い確率で見つかると考えています。

各パートナーの役割と責任

塩野義製薬はDNDiに化合物ライブラリーを提供し、DNDiはパートナー機関である韓国パスツール研究所にて評価を行います。塩野義製薬およびDNDiで結果をレビューした後、優先付けされた化合物に対して、塩野義製薬による純度確認が実施されます。

他(参考文献、引用文献など)

Chatelain, E and Ioset, JR. Expert Opin. Drug Discov. 2018, 13, 1 link Phenotypic screening approaches for Chagas disease drug discovery: Expert Opinion on Drug Discovery: Vol 13, No 2