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受領年2025
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投資金額¥314,446,720病気NTD(Schistosomiasis)対象Diagnostic開発段階Technical Feasibilityパートナー株式会社医学生物学研究所 , 長崎大学熱帯医学研究所(熱研) , ケニア国立医学研究所 , Drugs and Diagnostics for Tropical Diseases
イントロダクション/背景
イントロダクション
住血吸虫症排除プログラムは、早急に新しい検査を必要としています。この認識のもと、WHOは2021年に2つのTPP(標的製品プロファイル)を発行しました。住血吸虫症はWHOの最優先事項であり、世界的にはマラリアに次いで多い症例数です。全世界で推定2億人以上が影響を受けており、その90%がアフリカで発生しています。原因はマンソン住血吸虫(消化器疾患)およびビルハルツ住血吸虫(泌尿生殖器疾患)によるものです。現在の診断法のいずれも、すべてのニーズを満たしているわけではありません。 ビルハルツ住血吸虫 S. haematobium に対する参照基準検査法は尿濾過法および顕微鏡検査ですが、これは熟練した職員を必要とし、特に低感染強度地域では感度が低いために感染の有病率を過小評価してしまいます。 CCA抗原検査はビルハルツ住血吸虫 S. haematobium に対しては機能せず、CAA検査はまだ開発段階にあります。有望な分子検査が開発されましたが、高価であり、依然として実験室での使用に限られています。キーオピニオンリーダーは、は、就学前児童の血清学的検査が、特に低有病率地域において、住血吸虫症の制圧および排除プログラムの進捗状況を監視するための実行可能で実用的かつ費用対効果の高い解決策となることを一致して認めています。これまでのプロジェクトで私達は世界の住血吸虫症症例の約50%を引き起こす病原体であるマンソン住血吸虫に対して、そのTPPに完全に準拠の血清学的迅速診断テスト(RDT)のプロトタイプを開発しました。ここでは、アメリカ疾病予防管理センター (CDC) および長崎大学熱帯医学研究所 (NEKKEN) で独立して開発された有望なバイオマーカーに基づき、ビルハルツ住血吸虫 S. haematobium に対して、TPPに準拠するRDTプロトタイプを開発し、その診断性能を評価することで、残りの50%の症例に対応することを提案します。
プロジェクトの目的
このプロジェクトの包括的な目的は、選定されたビルハルツ住血吸虫抗原に対してヒト宿主が生成するIgG1型抗体を現在または過去の感染の指標として検出できる、TPP完全準拠で使いやすく、低コストのポイント・オブ・ケアテスト(POCT)を提供することです。G2024-203の終了時に提供されるRDTは、他の診断方法では疾病の有病率を正確に判断するのが難しい、MDA後の低蔓延地域における住血吸虫症の監視、評価、およびサーベイランス活動を支援するために必要な感度と特異度を備えることになります。監視グループとして幼い子供たちを対象としたRDTは、主に指刺し血液で使用されますが、乾燥した血液スポットでも機能するように設計されており、血清有病率研究を実施する他のNTDプログラムとの統合が容易になります。私達の検査は、長崎大学熱帯医学研究所(NEKKEN)、ケニア医療研究所(KEMRI)と共同で取得する一連の完全な実験室および現場検証データの上に成り立ちます。
プロジェクトデザイン
私たちは以下の4つの具体的な目標を追求していきます。
- 目標 1: 血清学的ビルハルツ住血吸虫テストに最も適した使用例を定義し、提案された根拠および正当性を示してSchisto DTAGに承認を求めます。
- 目標 2: 文献およびCDCとNEKKENでのこれまでの研究から、最も有望な5〜10のビルハルツ住血吸虫のバイオマーカーを発現させ、それらの性能をビルハルツ住血吸虫ELISAで評価します。目的は、感度、特異性、および生物物理学的特性(溶解性、安定性など)に基づいて、次の目的のために最大4つの抗原候補を選択することです。
- 目標 3: 前の目標で選定された各バイオマーカー候補に対するRDTプロトタイプを作製し、LOD(検出限界)、感度、および特異性(非特異的結合)に基づいて、得られたシングルプレックスLFA(ラテラルフローアッセイ)の性能をELISAと比較して評価します。 1~2の最も優れた抗原およびRDTプロトタイプを完全に最適化し、熱安定性、血液サンプルおよび乾燥血液スポット(DBS)との互換性、結果までの時間、結果の安定性および再現性を含むすべてのTPP基準を満たすようにします。
- 目標 4: NEKKEN およびKEMRIは、前述の目的で提供されたプロトタイプRDTの診断性能をそれぞれ独立して拡張された患者サンプルパネルを使用して評価し、その結果を実験室ベースの血清学的検査(ELISA/MBA)および他の非血清学的診断方法(顕微鏡検査、PCR、CAAテスト)と可能な限り比較します。G2024-203の終了時に、すべてのチームメンバーおよび主要な関係者(ドナー、WHOのSchisto-DTAG)が集まり、ビルハルツ住血吸虫候補RDTに関して収集されたすべてのデータを見直し、テストの特性が次のプロジェクトにおける現場評価および製造プロセス開発の開始に値するかどうかを決定します。
本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?
私たちは、CDCおよびNEKKENにおける尿路生殖器住血吸虫症の診断のためのバイオマーカー研究を活用して、ビルハルツ住血吸虫 S. haematobium に対するファーストインクラスの血清学的ポイント・オブ・ケアテスト(POCT)を開発することを提案します。住血吸虫症および他の顧みられない熱帯病(NTD)プログラムにおいて蓄積されている証拠に基づき、私たちは血清学的RDTが現在開発中のCAA抗原検査を補完するものであり、低強度の感染が発生する低有病率地域において、病気をより良く検出できると考えています。これは、感染伝播の遮断に近づいているケースに当てはまります。この助成金の目的の一部は、片方のテストが他方より有用である場合と、両方のテストの組み合わせが最も有用な情報を提供する場合を探ることです。私たちのテストは、女性生殖器住血吸虫症(FGS)を検出する際にも応用できるか可能性があります。前回のプロジェクトでマンソン住血吸虫 S. mansoni に対するTPP準拠の血清学的検査をすでに開発しており、このプロジェクトでビルハルツ住血吸虫 S. haematobium に対しても同様の成果を達成できると確信しています。私たちのテストは、住血吸虫症に罹っている人々がいる、または新たにこの病気にかかるリスクのある世界の顧みられない恵まれない地域に住む数億人の生活を改善するのに役立つため、重大な世界的な健康問題に対処できるものと考えています。
本プロジェクトが革新的である点は何ですか?
- イノベーション 1: これまでの研究において、CDCおよびNEKKENは、米国、日本、ケニアでのさまざまな実験室研究でビルハルツ住血吸虫 S. haematobium に新規のバイオマーカー候補をそれぞれ独立して特定してきました。このプロジェクトで、これらのバイオマーカー候補がラテラルフローアッセイ形式に適しているかどうかを評価することで、さらなる厚みを持ったイノベーションを追加します。
- イノベーション 2: DDTDは、新しいテスト構造を導入し、独自のサンプルパッド素材と組み合わせることで、テストの感度をさらに向上させ、血液サンプル使用時の完璧な動作(赤い筋ができないようにすること)を保証してきました。
- イノベーション 3: GHIT(グローバルヘルス技術振興基金)からの資金提供を受けたマンソン住血吸虫 S. mansoni プロジェクトの成功事例に倣い、MBLは再び、目標2で同定された2つの最良のビルハルツ住血吸虫 S. haematobium 抗原に対する新しいモノクローナル抗体を開発します。これらは、将来のPOCTを含むフィールド作業でポジティブコントロールとして使用されます。
各パートナーの役割と責任
- 熱帯病治療薬および診断薬 (DDTD): 指定された開発パートナーとして、DDTDはプロジェクトおよび協力パートナーを管理し、上記セクション3に記載された成果物およびマイルストーンが達成されることを確実にします。さらに、DDTDは最良のビルハルツ住血吸虫(S. haematobium)バイオマーカーの選定に貢献し、それに対応するプロトタイプRDTの開発と最適化を行います。すべての実験手順、およびプロジェクトの過程で取得された診断および生物物理学的データは、DDTDのISO13845認定品質管理システムに記録されます。
- 株式会社医学生物学研究所 (MBL): 最大4つのビルハルツ住血吸虫抗原および最大2つのポジティブコントロールモノクローナル抗体を研究開発グレードの品質で製造することを担い、将来のISO13485準拠のテスト製造を見越して、これらの主要な生物資源の発現および精製を再現するために必要な記録を維持します。
- 長崎大学熱帯医学研究所 (NEKKEN): 血清学的ビルハルツ住血吸虫ポイント・オブ・ケアテストの最適な使用例を定義することに関わり、バイオマーカー候補の実験室評価および選別、さらに、十分に特性が把握された患者血清および/または乾燥血液スポット(DBS)のコレクションを使用して、最適化されたビルハルツ住血吸虫テストの診断性能の実験室評価にも関わります。
- ケニア医学研究所 (KEMRI): 血清学的ビルハルツ住血吸虫ポイント・オブ・ケアテストの最適な使用例を定義することに関わり、さらに、十分に特性が把握された患者血清および/または乾燥血液スポット(DBS)のコレクションを使用して、最適化されたビルハルツ住血吸虫テストの診断性能の独立した実験室評価にも関わります。
Investment
プロジェクト
WHOによる住血吸虫症の制圧および排除プログラムの支援に向けて: ビルハルツ住血吸虫感染を検出するための高感度かつ特異的な血清迅速診断テストの開発。