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受領年2024
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投資金額¥288,958,766病気NTD(Trachoma)対象Diagnostic開発段階Product Designパートナー株式会社医学生物学研究所 , カーター・センター , Big Eye Diagnostics, Inc. (BEDx) , Drugs and Diagnostics for Tropical Diseases
イントロダクション/背景
1. イントロダクション
WHOは、2030年までに世界からトラコーマを撲滅するというNTD (顧みられない熱帯病)2021-2030ロードマップの目標達成のために新しい診断検査を緊急に必要としており、望ましい製品特性を定義するTPP(Target Product Profile)を発表しました。本プロジェクトでは、トラコーマの調査監視におけるTPPに完全に適合したRDT (迅速診断検査) をディップスティック バージョンとカセット バージョンの両方で提供し、地域、地区、村のラボでの乾燥血液斑 (DBS) を使用 する場合(ディップスティック)、低インフラ環境(カセット)でポイントオブケアとして指先から採取した血液を使用する場合(カセット)を含む様々な使用状況のシナリオを網羅します。私達が開発する検査には、アメリカ疾患管理予防センター (CDC) とカーターセンター (TCC) それぞれで取得したラボおよびフィールド検証データのフルセット、陽性コントロール抗体の新規熱安定性製剤、および、Big Eye Diagnostics, Inc.(BEDx)で30,000テスト分のパイロット生産を通じて独立して検証されたISO13485適合の製造プロセスが付いてきますが、それにより適切な段取りを踏んでWHOが検査を導入する準備が整うでしょう。利害関係者が必要とみなす場合には、事前適格性評価(WHO PQ)、ERPD(診断専門家審査パネル)による審査にも対応できるようになります。国家プログラムは、今回初めて眼科検査の代わりに商業生産され、TPPに完全に適合した迅速検査を使用してトラコーマ調査監視を実施できるようになります。私達のRDT は、理想的には他の調査監視プログラムにも組み込まれることも想定できる、標準化され、客観的な方法を提供します。
2. プロジェクトの目的
このプロジェクトの目的は、トラコーマの原因となる病原体であるクラミジア・トラコマチスへの曝露を検出するための迅速診断検査 (RDT) を供給することです。私達が開発する検査は、トラコーマの調査監視における WHO が発行した目標とする製品性能の概要文書(TPP) の主要基準をすべて満たすこととなり、ディップスティックとカセットの両方のフォーマットで提供されます。検査に、ラボおよびフィールドでの検証データのフルセットに加え、30,000テスト分のパイロット生産を通じて検証された ISO13485 製造プロセスを付けることにより、WHO による適切な段取りを踏んだ導入、事前審査、 ERPD レビューの準備が整います。私達の RDT により、重大かつ緊急のニーズに対応できるようになりますが、現時点で想定できる代替手段や競合品では、その対応はできないと考えられます。さらに、私たちは、CDC のラボ仕様のマルチプレックス ビーズ アッセイ (MBA) をプレ固相凍結乾燥 Luminex ビーズを生成することにより、厳格な品質管理 (QC)を経て、低インフラストラクチャのLMIC での使用に適し、コールドチェーンを必要としない製品にすることにも貢献する予定です。
3. プロジェクトデザイン
私たちは以下の6つの具体的な目標の達成を目指します :
- 目標 1 (MBL): 再現可能な製品品質を確保するための重要な要素の 1 つは、試験に使用する生物学的成分の安定で信頼できる供給源を確保することです。 MBL はこの重要な役割を担い、クラミジア・トラコマチス抗原を生産します。さらに、MBL、DDTD、およびCDCは共同で、CDCのラボ仕様のマルチプレックスビーズアッセイを該当のLMIC(低中所得国) にてより広く使用するサポートとして、適切に標準化されたポジティブコントロールを使用したプレ固相凍結乾燥Luminexビーズを作製します。
- 目標 2 (DDTD): 機能的なプロトタイプ RDT はすでに CDC によって作製、検証されており、その後 DDTD で再現され、部分的に最適化されています。この度はこの検査を、TPP の主要な基準をすべて満たすまで、十分に最適化をします。
- 目標 3 (CDC): 一旦DDTDが最適化された検査系の候補を推奨したら、CDC は感度と特異度の観点から TPP 適合性の検証を独立して行います。開発に進む候補 RDT の最終選択は、感度と特異性に加え、結果の一貫性/精度、検査結果までに要する時間、検査結果の安定性、熱安定性に基づいて行われます。ここでは、開発に進む候補 RDT を1つだけ選択することを目標としています。
- 目標 4 (TCC): CDC による TPP 適合性の検証が成功した後には、TCC はエチオピアのアムハラ公衆衛生研究所 (APHI)トラコーマモニタリングラボと共同で、RDT の診断性能と使いやすさ (実現可能性) を1件の意図する使用例を通じて、さらに検証します。
- 目標 5 (DDTD、BEDx): DDTD は、年間最大 700,000 テストが予想される需要フォーキャストと、TPPで要求されている1テストあたり 5 ドル未満の理想的な目標価格に見合った、堅牢な ISO13485 適合の大規模製造プロセスを開発します。ロースループットのカードごとの生産は、ハイスループットのオープンリール (R2R) プロセスに置き換えられます。新しい R2R 製造プロセスは、BEDx によって 30,000テスト分のパイロット生産を通じて独立して検証されます。
- 目標 6 (DDTD): 地域住民による検査受け入れの最適化および適切な段取りを踏んだ調査監視の検査コストに関する社会経済データを取得することを目標に、DDTDは社会人類学者および医療経済学者と連携します。 WHOが進めるMDA後のトラコーマ調査監視に向けて、今回開発する新しい検査を適切な段取りを踏んで採用することに対して満場一致の推薦を得ることを目標に、すべての主要な関係者が参加する最終会議が開催する予定です。
本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?
トラコーマは 42 か国で公衆衛生上の問題となっており、約 190 万人の失明または視覚障害の原因となっています。1 億 2,500 万人がトラコーマ流行地域に住み、この病気に感染するリスクにさらされています。今日のトラコーマ対策は抗生物質の MDA(薬物大量投与) に依存しており、その結果、MDA の開始と中止の決定のガイドとなるフィールド展開可能な診断ツールに大きく依存しています。現在利用可能な診断アプローチやツールは、この目的には適していません。緊急に行動する必要性を認識し、WHOは新しい診断ツールが満たすべき基準を定義するTPPを発表しました。 TPPの発表は、WHOが特定の疾患の重要性を世界的な医療課題として捉え、新しい診断開発の緊急性について発することができる最も強力なシグナルです。このプロジェクトでは、トラコーマ調査監視に対して、初のTPP完全適合の RDT (迅速診断検査)を提供します。私たちは、トラコーマの撲滅をサポートする本疾患に対して発のツールが、現時点で代替手段や競合が見当たらない中で、世界の公衆衛生において最も重要な満たされていないニーズに対処できることを敬意を表して提示します。
本プロジェクトが革新的である点は何ですか?
- イノベーション 1: 本疾患に対して初のデバイスの開発自体が革新的な貢献です。さらに、私達はこの新しい検査をディップスティック版とカセット版の両方で提供する予定であり、これらを組み合わせることで、地域、地区、村のラボでの乾燥血斑での仕様(ディップスティック)と指先採血によるポイントオブケア(カセット)を含む、あらゆる状況に対応できるようになります。
- イノベーション 2: CDC の MBA の使用は、熟練したオペレーターが使用前に蛍光ビーズを C. trachomatis 抗原に結合させる必要があるため、現在、少数の LMICs にのみに存在する設備の整ったラボに限定されています。さらに、すべての MBA 試薬は LMIC に配送するためにコールド チェーンを必要とします。MBA を地域のより多くの LMIC ラボで、より広範囲、理想的には地区のラボのレベルでも、使用できるようにするために、必要なすべての試薬と構成品をすぐに使うことができ、それらが熱安定性がある状態で入っている、MBA/Luminex アッセイ キットを開発することを提案します。このキットを使えば、該当のLMIC ラボで、使用直前に簡単に試薬調整ができるようになるでしょう。
- イノベーション 3: TPP では外部精度管理を必要としています。これにより、エンド ユーザーは、RDT が仕様どおりに作動するかを定期的に確認できるようになります。本検査のモノクローナル陽性コントロール抗体はすでに CDC で開発されています。ただし、現在は抗体は熱に対する安定性が低いため、輸送や LMIC での使用が困難です。この問題を解決するために、我々は最近、陽性コントロール抗体を完全に熱安定にする新しい方法を開発しました。我々はこの方法を河川盲目症プロジェクトの陽性コントロールの作製に適用し、50℃で2週間以上安定であることを示しました。私達の新しい方法を使うことにより、他の多くの顧みられない熱帯病(NTD) 診断用の外部コントロール抗体をコールド チェーンなしで LMIC に輸送できるようになります。これは現行の最善の方法(ベストプラクティス)に対して非常にインパクトがある改善となります。
各パートナーの役割と責任
- Drugs & Diagnostics for Tropical Diseases (DDTD): RDT の開発、最適化とそのTPP 適合性の検証。 ISO13485に適合した自動オープンリール製造プロセスの開発。プレ固相凍結乾燥MBA/Luminexビーズの標準操作手順(SOP)およびQCプロトコルの開発。
- Medical & Biological Laboratories Co., Ltd. (MBL): 最初はR&D グレードで、次に ISO/QMS グレードで C. trachomatis 抗原を生産。プレ固相凍結乾燥 MBA/Luminex ビーズのパイロット生産を通じての、ビーズの製造 SOP および QC プロトコルの検証。
- The Carter Center (TCC): 対象となるトラコーマが風土病になっているLMIC にある地域ラボ、おそらくエチオピアのアムハラ公衆衛生研究所 (APHI) のトラコーマ分子研究所での RDT 候補の外部検証。
- Big Eye Diagnostics, Inc. (BEDx): 10,000テストユニットを 3ロット分をパイロット生産することにより、新しいオープンリール製造プロセスと QC プロトコルを独立して検証。長期的には、本プロジェクト完了後、BEDx がキットの製造と商品化を引き継ぐ。
これら 4 機関からなる正式なチームメンバーに加えて、我々は疾病管理予防センター (CDC) と協力し、プロトタイプと候補 RDT、およびプレ固相凍結乾燥 MBA/Luminex ビーズの外部検証を実施します。さらに、WHOにおけるトラコーマ対応の中心人物である世界保健機関(WHO)のA.ソロモン博士が、このプロジェクトの公式オブザーバーを務めることに同意して下さり、すべてのプロジェクトコンソーシアムの会議に参加する予定です。
Investment
プロジェクト
トラコーマの調査監視におけるTPP完全適合のファーストインクラス迅速診断検査: WHO の世界的なトラコーマ撲滅運動において欠落している部分を補完