Investment

プロジェクト

NTDに対する化合物探索プログラム
  • 受領年
    2021
  • 投資金額
    ¥10,976,301
  • 病気
    NTD(Chagas disease)
  • 対象
    Drug
  • 開発段階
    Hit Identification
  • パートナー
    第一三共株式会社 ,  Drugs for Neglected Diseases initiative

最終報告書

1.プロジェクトの目的

本プロジェクトの目的は、第一三共株式会社(第一三共)が所有する多様な化合物ライブラリーより、GHIT/DNDiが定めるシャーガス病のヒット化合物の判定基準を満たす、有望な化合物群を特定することです。独創的かつsp3炭素に富んだ化合物を多数含む新たなPharma Space Libraryより、未評価の合計37,000化合物を選択し、スクリーニングを行いました。

 

2.プロジェクト・デザイン

以下の通り、スクリーニングを実施しました。

Step 1: 第一三共が所有する化合物ライブラリーより37,000化合物を分注

Step 2: T. cruziに対するシングルポイント試験

Step 3: T. cruziに対する濃度依存性試験

Step 4: T. cruziに対する活性確認およびCYP51阻害試験

Step 5: 最も有望な10種のヒット化合物の再合成

Step 6: 少なくとも2拠点のアッセイ系でのT. cruziに対する活性確認、および作用機序分析(プロテアソーム阻害、tRNA合成酵素阻害、シトクロムbc1阻害)

Step 7: ヒット化合物のADMEプロファイリング(溶解性試験、マウスおよびヒト肝ミクロソームでの代謝安定性試験、logD測定、膜透過性試験を含む)

Step 8: データレビュー、ヒット化合物群の特定

 

3.プロジェクトの結果及び考察

韓国パスツール研究所でのハイスループットスクリーニングにより、DNDiが定める活性基準を満たす最も有望な58種のヒット化合物を選出しました。第一三共によるクラスター解析の結果、これらヒット化合物は22のクラスターに分類されました。全てのヒット化合物について品質管理基準を満たすことが確認され、ダンディー大学でT. cruzi活性確認及びCYP51阻害試験を実施しました。その結果、DNDiが定めるヒット化合物の判定基準を満たす4種の異なる化合物群が同定され、幾つかの代表的な化合物を再合成しました。ヒット化合物群の一つであるキナゾリン骨格は、NTDs ブースタープロジェクトから得られた知見に基づき優先度を下げました。他の3種の骨格は、我々のシャーガス病創薬プログラムにとって新規のものであり、3拠点の異なるアッセイ系でT. cruzi活性を確認しました。全ての化合物について、溶解性、代謝安定性、logD、膜透過性、血漿タンパク結合率を評価し、誘導体化による物性の改善が必要であることが示されました。第一三共およびDNDiにて、GHITによる支援の範囲外で、今後数ヶ月をかけて改良に取り組み、並行して追加の作用機序分析を進めていく予定です。