Investment

プロジェクト

リーシュマニア症を対象としたDNDI-6174の前臨床開発
  • 受領年
    2020
  • 投資金額
    ¥612,293,801
  • 病気
    NTD (Leishmaniasis)
  • 対象
    Drug
  • 開発段階
    Preclinical development
  • パートナー
    エーザイ株式会社, Drugs for Neglected Diseases initiative

イントロダクション/背景

イントロダクション

エーザイ株式会社 (以下「エーザイ」) およびDrugs for Neglected Diseases initiative (以下「DNDi」) は、安全で、有効で、短期治療が可能な、現地に適した、内臓リーシュマニア症 (VL) の経口薬開発を目指します。リーシュマニア症は20種以上あるリーシュマニア原虫の感染により引き起こされ、治療しなければ死に至る顧みられない熱帯病 (NTDs) で、年間5-9万人の新規症例と1万人の死亡が報告されています。DNDiの長期的な目標は、2030年までに公衆衛生問題としてのVL制圧と直接的なVLによる死亡ゼロを世界的に目指す世界保健機関 (WHO) のロードマップに貢献することです。

エーザイはグローバルヘルス専門部門とプロセス化学、製造、および製剤開発の最先端機能を有する世界有数の製薬企業です。DNDiは顧みられない患者さんのニーズに応え、15年以上にわたりリーシュマニア症の治療開発に取り組んできました。本プロジェクトではエーザイとDNDiが協働し、新規作用機序を有するDNDI-6147の前臨床開発を完了し、健常人の第I相試験に用いる治験薬候補として選定することを目指します。

 

プロジェクトの目的

本プロジェクトでは以下を目的とします。

目的1. 合成経路開発と前臨床試験、製剤開発および第I相試験に適した原薬 (API) 製造

目的2. 前臨床安全性試験および第I相試験に適した製剤開発

目的3. 一連の前臨床安全性試験の完了

目的4. ヒト初回投与試験用の治験薬製造とAPI および製剤の安定性試験の開始

目的5. 前臨床試験結果のレビューと薬事申請書類 (治験薬概要書) の準備、健常人の第I相試験治験薬候補としての選定

 

プロジェクト・デザイン

始めに収率改善とクロマトグラフィー工程を排除する目的で合成法を最適化します。これで最適化された製法をスケールアップした上、GLP準拠試験や臨床用製剤開発 (2.5kg)、GMP準拠製造 (4kg) で用いる物質を合成します。製造コスト (COGs) の低減という長期目標も踏まえて効率的な新規経路の探索手法を検討し、前臨床用原薬の供給に向けて手法開発や標準品適格性評価、不純物解析等の分析を実施します。

並行して塩選択と結晶多形スクリーニングを実施し、原薬製造で利用される適切な塩類を特定された結晶多形で選定します。

GMP準拠の原薬バッチ製造と即放性製剤の開発に取り組み、ヒト初回投与試験 (FIH) の準備を完了します。

分析手法の開発と検証 (原薬+製剤) および安定性試験の開始 (暫定的な有効期間設定のための予備的なGMP原薬、第I相non-GMP製剤の安定性試験) により、薬事申請、臨床用バッチ製造、パッケージングとリリースに備えます。

臨床試験申請 (IND/CTA) に向けた試験の前に、選定された新APIや経口製剤の曝露レベルを薬物動態試験で検証します。

GLP前臨床試験のデータパッケージとして、分析手法の開発と検証、安全性薬理および遺伝毒性バッテリー試験、イヌでの用量範囲試験、申請で必要となるラットおよびイヌでの28日間毒性試験と回復性評価を実施します。

これまで毒性の懸念は示されておらず、試験動物の数と費用を減らすため、in vivo遺伝毒性指標や中枢試験毒性評価はラットの毒性試験に盛り込みます。28日間の試験により、ターゲットプロダクトプロファイル (TPP) で許容される最長期間である、ヒトでの14日間までのDNDI-6174投与が認められます。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

内臓リーシュマニア症 (VL、別名カラ・アザールは寄生虫であるLeishmania donovaniLeishmania infantumの感染により引き起こされ、特にインド亜大陸と東アフリカ地域で蔓延し、2015年にWHOに報告された新規症例の90%以上はブラジル、エチオピア、インド、ケニア、ソマリア、南スーダン、スーダンの7ヵ国で見られました (ただし全症例の30%程度の報告と推計)。東アフリカ地域では5価アンチモン剤が依然、第一選択治療法の一部として使われ、非経口の投与方法、治療期間の長さ、毒性、および価格などの理由で著しい課題を抱えています。そのため新規化合物であるDNDI-6174による開発パイプラインの強化が必要です。DNDiはパートナーと共にこれまで8つのNTDs新規治療を開発・提供してきました。リーシュマニア症プログラムでは、2030年までの制圧・制御と死亡ゼロの達成に貢献することを目指します。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

DNDiはパートナーと共に、併用剤開発プラットフォーム (DCDP) での新規化合物 (NCEs) による併用剤開発に取り組み、耐性化を抑制し、すべての蔓延地域で十分な有効性を示す、短期投与が可能な治療法の実現を目指しています。これにより症例管理が容易となり、制圧目標を後押しします。VL経口薬候補としてトランスレーショナル段階にある新規化合物はこれまでになく充実していますが、新規化合物の高い開発中止のリスクを考慮すると、継続的なパイプラインの強化は避けられません。DNDI-6174は新規作用機序 (シトクロムbc1複合体阻害) を示す新たな化学物質クラス (ピロロピリミジン) の候補化合物であり、他の化合物で見つかるかもしれない毒性の課題に対処できる可能性があります。

各パートナーの役割と責任

エーザイはプロセス化学、API製造、および製剤開発と、そのための各種調整や調達を担います。DNDiは前臨床試験 (ADME、モデリング、寄生虫学、安全性薬理・毒性試験)、およびプロジェクト全体の管理責任を担います。