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Project IDG2019-213
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受領年2019
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投資金額¥225,769,996病気NTD(Leishmaniasis)対象Diagnostic開発段階Product Developmentパートナー長崎大学熱帯医学研究所(熱研) , マギル大学 , Gennova Biopharmaceuticals Ltd. , アメリカ食品医薬品局 , オハイオ州立大学論文
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Dey R, Alshaweesh J, Singh KP, Lypaczewski P, Karmakar S, Klenow L, Paulini K, Kaviraj S, Kamhawi S, Valenzuela JG, Singh S, Hamano S, Satoskar AR, Gannavaram S, Nakhasi HL, Matlashewski G. Production of leishmanin skin test antigen from Leishmania donovani for future reintroduction in the field. Nat Commun. 2023 Nov 2;14(1):7028. doi: 10.1038/s41467-023-42732-2. PMID: 37919280; PMCID: PMC10622560.
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Thalia Pacheco-Fernandez, Laura Klenow, Shin-Ichi Inoue, Kamaleshwar P Singh, Farzaneh Valanezhad, Hannah Markle, Nazli Azodi, Meghan Brino, Shara Bakytbek, Caroline Hobson, Ishaan Jain, Pratik Talgaonkar, Shalu Shukla, Pawan Kardile, Swarnendu Kaviraj, Larissa O Silva, Pedro B Borba, Marina Santana, Taylla Costa, Greg Matlashewski, Lucas P Carvalho, Edgar M Carvalho, Camila I de Oliveira, Abhay R Satoskar, Sanjay Singh, Shinjiro Hamano, Sreenivas Gannavaram, Hira L Nakhasi. An observational study to test the potency of GLP-grade phenol-free lyophilised leishmanin antigen formulation. PMID: 41997829 DOI: 10.1016/j.ebiom.2026.106246
イントロダクション/背景
イントロダクション
リーシュマニア症は典型的な細胞内寄生原虫であるリーシュマニアによって引き起こされ多彩な病態を示す。同症は感染した雌サシチョウバエの吸血によって媒介され、世界で3億5000万人が感染のリスク下にある。世界保健機関(WHO)はリーシュマニア症を顧みられない熱帯病(NTD)に分類する。リーシュマニン皮内テスト(LST)はリーシュマニアへの暴露と免疫応答を検出するために何十年も使用されてきたが、LST に使用するリーシュマニン抗原はもはや入手不可能である。LST の復活・再導入を目指すのには切実な理由がある。まずLSTはリーシュマニアが現在もしくは過去に活発に伝播していた地域や村の同定に機能し、内臓リーシュマニア症制圧プログラムの遂行に重要な役割を果たす。またLSTは現在開発が進む前途有望なリーシュマニアワクチンの効果の判定に有効に機能する代用マーカーとなりうる。
プロジェクトの目的
本プロジェクトの目的は、1.ドノバンリーシュマニア抗原(リーシュマニン抗原)を生産しその安定性を検証すること、2. 免疫した動物でのドノバンリーシュマニア由来のリーシュマニン抗原の機能を検証、3. 内臓リーシュマニア症から治癒した患者ならびに不顕性感染者でのリーシュマニン抗原の有効性を検証することにある。
プロジェクト・デザイン
ドノバンリーシュマニア原虫からリーシュマニン抗原を作るプロトコールを確立し、リーシュマニン皮内テスト(LST)のためにGMP レベルのリーシュマニン抗原を生産する。内臓および皮膚リーシュマニア症の前臨床動物モデルとしてハムスターとマウスを各々用いて、リーシュマニン抗原をテストし、LSTによる潜伏感染と免疫応答(遅延型過敏反応)の検出能を検証する。前臨床動物モデル動物では関連する免疫応答も解析する。動物を用いた前臨床試験が完了したら、浸淫地でリーシュマニア症を発症した患者ならびに不顕性感染者でLSTの有効性を評価する。
本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?
本プロジェクトは、皮膚・内臓リーシュマニア症ならびに免疫応答の効果的な検出目的に過去広く使用されてきたLSTの復活・再導入に繋がる。LSTの再導入には切実な理由がある。まずLSTは現在もしくは過去にリーシュマニアが活発に伝播していた地域や村の同定を可能とし、インド亜大陸における内臓リーシュマニア症制圧プログラムの遂行に不可欠な役割を果たす。またリーシュマニア伝播が極めて巣状集積を示す理由や地域の再流行リスクの推定を可能とする。さらにLSTは開発が進む前途有望なワクチンの効果の判定に有効に機能する代用マーカーとなりうる。このように、LSTは現在進行中の内臓リーシュマニア症制圧へ向けた取り組み、ならびに将来のワクチン開発研究をサポートするものとなる。
本プロジェクトが革新的である点は何ですか?
現在、リーシュマニアの潜伏感染や免疫応答を検出できる診断法はない。使用可能な血清診断やPCRは急性感染を同定できるものの過去の暴露や細胞性免疫の状態を効果的に検出・評価できない。リーシュマニン皮内テスト (LST) はリーシュマニアへの暴露と免疫応答を検出するために何十年も使用されてきたが、LST に使用するリーシュマニン抗原はもはや入手不可能である。LSTが使用できれば、リーシュマニアへ暴露された個人を同定できるにとどまらず、我々は共同体における効果的なサーベイランスを行うことができる。さらにLSTは開発が進む前途有望なワクチンの効果判定に有効に機能する代用マーカーとなりうる。
各パートナーの役割と責任
オハイオ州立大学(OSU)は本プロジェクトの指名被交付機関でありプロジェクト全体の調整・統合に責任を有する。またOSUは新世界に蔓延する皮膚リーシュマニア症のモデル動物を用いてLSTの評価を行う。さらに、インドのビハール州で行う臨床試験を支援・監督し、ヒトにおけるLSTの有効性を評価する。
長崎大学・熱帯医学研究所(NUITM)は安全性試験を担当する。また旧世界に蔓延する皮膚リーシュマニア症の前臨床モデルを用いてLSTの評価を行う。
Gennova Biopharmaceuticals Ltd は製品の開発計画を行い、動物モデルとヒトでの評価に十分なGLPレベル品質のリーシュマニン抗原を製造する。またインドのビハール州で臨床試験を実施し、必要に応じてインドにおける規制に関する申請から承認までの手続きを完遂する。
アメリカ食品医薬品局(FDA)はサシチョウバエを介した感染実験を通してcGMP レベルの LSTによる潜伏感染と免疫記憶の検出能を検証する。内臓リーシュマニア症の前臨床動物モデルとしてハムスターを、皮膚リーシュマニア症の前臨床動物モデルとしてマウスを用いる。
マギル大学はリーシュマニン抗原の製造プロトコールを確立し、抗原の安定性を精査する。またインドのビハール州において内臓リーシュマニア症から治癒した患者ならびに不顕性感染者を対象に行う臨床試験を通してLSTの有効性を評価する。
他(参考文献、引用文献など)
1. Reed, S., Badaro, R., Masur, H., Carvalho E., Lorenco R., Lisboa, A., Texeira, R., Johnson W., and Jones, T. Selection of a skin test antigen for American visceral leishmaniasis. Am. J. Trop. Med. Hyg. 35: 79-85, 1986.
2. Alimohammadian M., Kojori Z., Darabi H., Malekzadeh M. et al. Soluble Leishmanin as an ideal reagent for skin testing in human leishmaniasis. Iran. Biomed. J. 1: 39-47, 1997.
3. Gramiccia M., Bettini S., Gradoni L., Verrilli L., Loddo S., and Cicalo C. Leishmaniasis in Sardinia. Leishmanin reaction in the human population of a focus of low endemicity of canine leishmaniasis. Trans. Roy. Soc. Trop. Med. Hyg. 84: 371-374, 1990.
最終報告書
1.プロジェクトの目的
1. インド分離株に由来する L. donovania 可溶性抗原(Leishmanin抗原)を製造し安定性を評価する。
2. 免疫を獲得したハムスターおよびマウスを用いて、同抗原による皮内反応(LST)を検証する。
3. インド・ビハール州のVL治癒者においてLSTの有効性を検証する。
2.プロジェクト・デザイン
L. donovani由来可溶性抗原を製造し、その短期・長期安定性を評価して最適条件を確立する(Aim1)。続いて感染・免疫獲得動物でLST反応と局所免疫解析を行い、診断性能と有用性を検証する(Aim2)。最後にVL治癒者等のPBMCで免疫応答を評価し、曝露歴判定と将来研究に資する(Aim3)。
3.プロジェクトの結果及び考察
1. 従来の凍結融解(Freeze–Thaw: F-T)法により、L. donovani 由来GLPグレードLeishmanin可溶性抗原の製造に成功し、Reed(1986)に基づく再現性の高い製造プロセス(上流・下流)を確立した。また使用したインド分離株の遺伝学的同一性を全ゲノム解析により確認し、品質保証体系を明確にした。
2. 抗原活性は複数の動物モデルで検証された。マウスではL. major FV9感染治癒個体および弱毒生ワクチン株LmCen⁻/⁻ 接種個体で強い遅延型過敏反応(DTH)が認められ、未免疫マウスは反応を示さなかった。LST部位の免疫解析からCD4⁺・CD8⁺T細胞が応答形成に関与することが明らかとなり、細胞性免疫の指標としてのLSTの有用性が示された。同様の結果はハムスターでも再現され、感染既往やワクチン誘導免疫の種を超えた検出能が確認され、LSTの汎用性を支持した。
3. 実装を見据え、従来法と同等の有効性を示す新規浸透圧溶解法による抗原抽出技術を開発し、凍結乾燥製剤として安定的に製造可能であることを示した。
4. 将来のcGMP製造に向け、ATCCは同インド分離株のMCBおよびWCBを作製し品質評価を完了した。無菌性、外来性微生物非検出、ゲノム同一性、安定した増殖特性など全基準を満たし、cGMP製造の基盤が整った。これらはプレクリニカル試験やヒトPBMC解析を経て将来的なフィールド評価へ展開され、実用化に向けた開発を加速する。
将来の規制承認を見据え、臨床研究でのワクチン候補の免疫学的評価に向けたプレクリニカル検証を支える凍結乾燥Leishmania抗原の製造工程を確立し、ロット間変動を回避できる実装可能な管理プロセスを構築する必要がある。また、主要な死亡原因であるVLを検出し、全Leishmania種に対応可能なL. donovani由来抗原の開発が求められる。
Investment
プロジェクト
リーシュマニアへの暴露ならびに免疫応答検出のためのリーシュマニン皮内テスト (LST)の生産・検証・使用




