プレスリリース

September 27, 2023

住友ファーマ、田辺三菱製薬などによるマラリアの製品開発や顧みられない熱帯病対策に合計約11.8億円の投資を決定

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下、GHIT Fund)はマラリアに対するワクチンおよび治療薬開発に約9.1億円、顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)に対する製品開発に約2.7億円の合計約11.8億円の投資を決定したことを発表いたします。✳1

 

マラリアは、世界で年間約2億5,000万人が罹患し、2021年には約62万人✳2が死亡しています。また、顧みられない熱帯病(NTDs)は、世界で16億人以上の人々に影響を与える20以上の熱帯感染症を中心とした疾患群✳3であり、特に低中所得国の貧しい地域に偏り分布し、人々の健康や生活に大きな影響を与えています。診断薬、ワクチン、治療薬などが必要な状況にも関わらず、資金や人材が不足し、研究開発が進んでいません。GHIT Fundはこの顧みられない感染症と闘うため、日本の技術およびイノベーションと海外の機関との連携を促進し、新薬などの研究開発に投資をしています。

 

非臨床試験段階にある次世代のマラリアワクチン開発に約5.7億円の投資

第一に、住友ファーマ株式会社、愛媛大学、欧州ワクチンイニシアチブ(EVI)、ポルトガルの非営利バイオテクノロジー企業であるInstituto de Biologia Experimental e Tecnologica (iBET) が共同で進める赤血球期マラリアワクチン開発プロジェクトに約5.7億円の投資を行います。現在、最も開発が進んでいるマラリアワクチンは有効性が低く、十分に感染を阻止できないという点から、さらに効果の高いワクチン開発が望まれています。本プロジェクトの推進により、より効果的な次世代ワクチンの開発が期待されます。

 

第二に、田辺三菱製薬株式会社、Medicines for Malaria Venture (MMV)、ジョージア大学による抗マラリア薬の前臨床候補物質の創出を目的としたプロジェクトに約3.3億円の投資を行います。

 

その他、顧みられない熱帯病対策として、笹川保健財団、アメリカハンセン病協会、オズワルドクルス研究所によるハンセン病ワクチンの臨床試験段階のプロジェクトに約1.5億円、株式会社医学生物学研究所とアメリカの非営利診断薬開発企業であるDrugs & Diagnostics for Tropical Diseases (DDTD)を含むパートナーシップによる住血吸虫症とオンコセルカ症の診断薬開発プロジェクトにそれぞれ約5,500万円と約6,600万円の投資を決定いたしました。

 

GHIT Fund CEOの國井修は、「日本の強力なリーダーシップと海外のパートナーの協力のもと、マラリアと顧みられない熱帯病に対する新しい製品開発に投資できることを嬉しく思います。新たなパートナーの参画によって第3期の製品開発を加速化し、一日も早く現地に新薬等を届けたいと思います」と述べています。

 

2023年9月27日時点で、47件のプロジェクトが進行しており、内訳として、19件の標的・探索研究、17件の非臨床試験、11件の臨床試験✳4となります。(別紙2)GHIT Fundのこれまでの累積投資金額は約302億円となります。

 

 

 

注記

✳1これらの案件は、2022年11月〜2023年7月にかけて実施した公募RFP2023-001(製品開発プログラム)の中から選定され、承認されたものです。

✳2 WHO(世界保健機関)https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/malaria 参照

✳3 WHO(世界保健機関)https://www.who.int/health-topics/neglected-tropical-diseases 参照

✳︎4薬事申請の段階にある案件を含みます。診断薬開発において、途上国における 患者サンプルを使用した臨床的妥当性の評価を行う段階に入った案件については、表現の便宜上、臨床試験として扱う。