Investment

プロジェクト

抗ボルバキア菌を標的とした新規フィラリア成虫駆虫薬AWZ1066Sの研究開発
完了プロジェクト
 

イントロダクション/背景

イントロダクション

リンパ系フィラリア症(象皮症)とオンコセルカ症(河川盲目症)は、寄生虫によって引き起こされる2つの顧みられない熱帯病で、世界中で1億5000万人以上の人々に影響を及ぼします。国際社会はこれらの疾患の制圧に向けて集団投薬を継続的に行っています。しかし、フィラリア成虫を駆除する治療剤がいまだ存在しないため、これらの罹患者に年1回以上、長年にわたって投薬をする必要があります。

我々は、フィラリア成虫の細胞内に寄生するボルバキアという細菌を駆除することで、成虫を死滅させることができることを解明しました。ドキシサイクリンにはこの作用が確認されており、臨床試験によって既にPOC(Proof of Concept)が証明されています。その結果は良好でしたが、集団投与の対象者の大部分を占める小児・妊婦には投薬できないという問題があります。我々は、ドキシサイクリンより迅速かつ効果的に作用し、前臨床試験で安全性を確認した新薬候補を創出しました。

 

プロジェクトの目的

このプロジェクトの目的は、ヒトの安全性を評価する一連の第I相臨床試験を完遂することによって、この薬剤候補の開発をさらに推進することです。これは、新薬の開発に必須のステップであり、これらの疾患の新しい治療法の実現に近づきます。

 

プロジェクト・デザイン

プロジェクトでは次のことを実施する予定です。

  • 必要な品質を満たした候補薬剤の十分な量の製造
  • 臨床試験を実施するための申請と許可の取得
  • 新薬のライセンス取得のための国際的な要件に沿った試験の完了

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

既存の薬剤は成虫ではなく幼虫を標的にします。長寿命の成虫 (オンコセルカ症10〜14年、リンパ系フィラリア症5〜8年)の感染サイクルを断ち切るためには、効果的な治療を蔓延地域へ持続的かつ長期に施す必要があることを意味します。紛争後の国々を含むアクセスが難しい地域の17カ国では、世界リンパ系フィラリア症制圧計画(GPELF)が開始されてから12年たった現在もリンパ系フィラリア症に対する集団薬物投与はまだ開始していません。いくつかの国における既存薬のイベルメクチンへの薬剤耐性の発生やLoa loaと呼ばれる感染症が併発する地域における安全性上の課題を受け、目標期限内に制圧プログラムを達成するためには、成虫に対する安全な新駆虫薬とその使用法の開発が必要かつ急務となっています。

寄生虫内の細菌を殺す私たちのアプローチは成虫を駆除し、現在の治療法と比較してより良い治療結果をもたらし、疾患の進展に対して実質的な改善をもたらします。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

寄生虫内の必須細菌を標的にして寄生虫を殺すアプローチは、全くユニークなアプローチであり、寄生虫を直接標的とする薬物よりも多くの利点を提供するアプローチです。POC臨床試験は、この代替アプローチが有効であり、制圧に必要な時間を大幅に削減できることを既に示しています。 また、私たちの薬物候補は子供や妊婦を含む全人口で使用される可能性を秘めています。

各パートナーの役割と責任

リバプール大学熱帯医学校(LSTM)は、代表機関としてプロジェクト全体を管理し、第Ⅰ相臨床試験の主要スポンサーとなります。LSTMは学術および産業パートナーと協力して医薬品を開発した豊富な経験を持ち、NTDs治療の新薬研究開発において30年以上の経験を持つWard教授が率いるLSTMチームが、共同パートナーとGHITと連携します。

エーザイは前臨床および臨床開発の専門知識を提供します。エーザイのグローバルチームを率いるのはGHITが資金提供する抗マラリア候補薬について臨床開発の2つのステージを完了した経験を有するGusovsky博士です。治験薬の製造等について責任を負い、規制と臨床戦略に関してLSTMと協力して取り組む予定です。

Paul O’Neill教授率いるリバプール大学は作用機序と薬剤耐性の研究を実行する責任を負います。

第Ⅰ相臨床試験を指揮するのはヒト初回投与試験の統括責任資格を有するロイヤル・リバプールとブロードグリーン臨床研究施設(CRF)のディレクターであるRichard FitzGerald博士です。

他(参考文献、引用文献など)

https://cen.acs.org/biological-chemistry/infectious-disease/Developing-rapid-attack-against-parasitic/97/i2