プレスリリース

March 30, 2023

エーザイ、愛媛大学、DNDiなどによる顧みられない熱帯病の新薬・ワクチン開発に約4億円の投資を決定

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下、GHIT Fund)は顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)であるマイセトーマとオンコセルカ症に対する治療薬およびマラリアワクチンの研究開発に約4億円の投資を決定したことを発表いたします。✳1

 

顧みられない熱帯病(NTDs)は、世界保健機関(WHO)が定める20種類の感染症です。✳2

主に熱帯地域の貧困層に蔓延する寄生虫や細菌、ウイルスにより感染し、世界で16億人以上✳3が苦しんでいます。これまで先進国では大きな問題にならず治療薬などを開発しても利益にならないことから、顧みられない病気として扱われてきました。GHIT Fundは世界の貧困層の健康を脅かすマラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)などの感染症に対し、日本の技術とイノベーションでグローバルヘルスに貢献するため新薬などの開発への投資ならびにポートフォリオマネジメントに取り組んできました。

 

顧みられない熱帯病(NTDs)の一つであるマイセトーマ治療薬に約3億円の投資

GHIT Fundは、エーザイ株式会社(以下、エーザイ)とDrugs for Neglected Diseases initiative(以下、DNDi)による、マイセトーマ治療薬の薬事承認と患者へのアクセスに向けた準備のプロジェクトに約3億円の投資を決定しました。マイセトーマは顧みられない熱帯病(NTDs)の一つで、傷口からの細菌または真菌の侵入により感染し、皮下や深部組織を破壊していく進行性の疾患です。進行が遅く無痛性のため診断や治療が遅れ、病変部の切断や死に至る場合もあります✳4。GHIT Fund CEOの國井修は、「エーザイとDNDiによる真菌性マイセトーマ治療薬開発には今般の投資を含め2017年から5億円以上の投資を継続し、NTDsの制圧に向けた取り組みを支援しています。GHITの第3期5ヵ年計画の中でこの治療薬が迅速に承認され、1日でも早く患者さんに届くことを願っています。」と述べています。

 

なお、同時期に愛媛大学とマヒドン大学によるマラリアに対するmRNAワクチン開発プロジェクトに約7,000万円、株式会社ボゾリサーチセンター、DNDi、ボン大学病院、 Mahidol Oxford Tropical Medicine Research Unit (MORU)によるオンコセルカ症✳5 の治療薬開発プロジェクトに3,000万円の投資を行います。

 

2023年3月30日時点で、53件のプロジェクトが進行しており、内訳として、26件の標的・探索研究、15件の非臨床試験、12件の臨床試験✳6となります。(別紙2)GHIT Fundのこれまでの累積投資金額は約291億円となります。

 

 

注記

✳1これらの案件は、2022年6月〜2023年1月にかけて実施した公募RFP2022-002(標的研究プログラム、製品開発プログラム)の中から選定され、承認されたものです。

✳2 WHO(世界保健機関)https://www.who.int/health-topics/neglected-tropical-diseases 参照

✳3 WHO(世界保健機関)https://www.who.int/news/item/30-01-2023-more-countries-eliminate-neglected-tropical-diseases-but-investments-key-to-sustain-progress 参照

✳4 WHO(世界保健機関)https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/mycetoma 参照

✳5 オンコセルカ症(河川盲目症)は回旋糸状虫への感染により引き起こされる寄生虫症で、失明に至ることもあります。感染者の99%以上がサハラ以南アフリカの31カ国に暮らしています。WHO(世界保健機構)https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/onchocerciasis 参照

✳︎6 診断薬開発において、途上国における 患者サンプルを使用した臨床的妥当性の評価を行う段階に入った案件については、表現の便宜上、臨床試験として扱う。