Investment

プロジェクト

DSM265 の市販に向けた製剤開発
Project Completed
 

イントロダクション/背景

DSM265 は、Medicines for Malaria Venture(MMV)が有する臨床候補化合物です。 DSM265 はマラリア原虫ジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)に対する新規の選択的阻害薬で、現在、熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)または三日熱マラリア原虫(P. vivax)に感染した患者を対象に Phase IIa のプルーフ・オブ・コンセプト(POC)試験をペルーにおいて実施中です。本薬は、マラリアの治療および予防を目的とした抗マラリア薬として期待されています。

 

本プロジェクトの提案は、「長時間作用型抗マラリア薬としての DSM265 の開発」に対するこれまでの資金提供に続く GHIT Fund への追加申請となり、DSM265 の市販に向けた製剤開発を目的としております。 本提案は、我々が実施した製剤開発の初期の検討結果に基づいたものであり、Phase IIb 開始前における DSM265 の開発において最も重要な部分に該当します。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

マラリアは予防および治療が十分に可能であるにも関わらず、97 ヵ国で 33 億人の人々が危険にさらされています。年間の症例数はおよそ 2 億例で、推定で58 万 4000 人が死亡しています。WHO の推定では、マラリアに起因する死亡例の 90%は、サハラ砂漠以南のアフリカで発生していると言われており、2013 年には、全世界で 45 万 3000人の5 歳以下の小児が死亡しております。これは、約 1 分間に小児 1 例に相当します。

 

また、これらの流行国で現在使用されている殺虫剤や抗マラリア薬に対する耐性の獲得が、懸念事項として認識されています。アルテミシニン(ACT における中核化合物)に対する寄生原虫の耐性が、東南アジアの 4 ヵ国(カンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナム)で検出されています。このため、寄生原虫を除去する方法の開発と適用が必要不可欠であり、MMV の戦略はこれに沿う形で、短期的な成果となる対するもの、すなわち、寄生原虫を排除する製品を5 年以内に上市すること、及び、寄生原虫を根絶する「革新的」次世代医薬品開発の基礎となるプロジェクト群の 2 つで構成されております。

 

新規のマラリア治療薬の開発における最優先事項は、一度の薬剤投与によるマラリアの根治治療やその予防(SERCaP)を可能とする次世代の薬剤を提供することです。 SERCaP 製品によりマラリア治療が変革され、大規模な投薬プログラムによって、根治治療の基本処方として可能となります。TCP(標的化合物プロファイル)-2 においては、残留寄生原虫の薬剤耐性の獲得を防ぐ、長時間作用型製剤が定義されています。理想的には、治療後の予防効果が付与されるものとしております。

 

DSM265 プロジェクトは、TCP-2 に完全に適合しており、薬物学的に長時間の有効半減期が認められる血漿薬物動態を示しています。直近では、DSM265 は熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)または三日熱マラリア原虫(P. vivax)感染患者を対象とした POC 試験を開始しました。肝潜伏期の寄生原虫に対するIn vitro 試験結果では、TCP4 にも適合することが示唆されています。半減期が長時間であることも踏まえて、本剤は化学的な予防製剤の有望な候補となることが示唆されます。また、流行国において適切に活用されることにより、寄生原虫の伝播を防止する可能性も示されています。 

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

本プロジェクトは、Phase IIb 臨床試験開始に先駆けて、DSM265 の市販用製剤処方開発を目指すものです。これにより、臨床試験デザインが費用対効果に優れたものとなります(すなわち、シームレスな Phase IIb /III 試験デザインが可能となります)。 

各パートナーの役割と責任

タケダはCMCや関連する科学的な観点でのコンサルタント業務を行います。当該プロジェクトは、MMVとタケダの科学者チームで実施し、チームはすべての活動について責任を持ちます。

 

MMVはこの提案書で指定されたファンド譲与者であり、合意された予定・予算に従った業務計画を作成し、GHITへの報告を行う責任を持ちます。MMVは、プロジェクトを推進するとともに管理し、活動を連携していきます。業務はMMV、タケダ、そしてCROにて協働して実施します。

他(参考文献、引用文献など)

WHO World Malaria Report 2014

Phillips et.al.; A long-duration dihydroorotate dehydrogenase inhibitor (DSM265) for prevention and treatment of malaria. Science Translational Medicine. 2015 Jul 15;7(296)