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受領年2014
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投資金額¥79,543,796病気NTD(Chagas disease / Leishmaniasis)対象Drug開発段階Lead Identificationパートナーエーザイ株式会社 , 塩野義製薬株式会社 , 武田薬品工業株式会社 , Drugs for Neglected Diseases initiative論文
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Akao Y, Canan S, Cao Y, Condroski K, Engkvist O, Itono S, Kaki R, Kimura C, Kogej T, Nagaoka K, Naito A, Nakai H, Pairaudeau G, Radu C, Roberts I, Shimada M, Shum D, Watanabe N, Xie H, Yonezawa S, Yoshida O, Yoshida R, Mowbray C, Perry B. RSC Medicinal Chemistry 2021. doi: 10.1039/D0MD00353K
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Tawaraishi T, Ochida A, Akao Y, Itono S, Kamaura M, Akther T, Shimada M, Canan S, Chowdhury S, Cao Y, Condroski K, Engkvist O, Francisco A, Ghosh S, Kaki R, Kelly JM, Kimura C, Kogej T, Nagaoka K, Naito A, Pairaudeau G, Radu C, Roberts I, Shum D, Watanabe NA, Xie H, Yonezawa S, Yoshida O, Yoshida R, Mowbray C, Perry B. Collaborative Virtual Screening Identifies a 2-Aryl-4-aminoquinazoline Series with Efficacy in an In Vivo Model of Trypanosoma cruzi Infection. J Med Chem. 2023 Jan 26;66(2):1221-1238. doi: 10.1021/acs.jmedchem.2c00775. Epub 2023 Jan 6. PMID: 36607408; PMCID: PMC9884087.
イントロダクション/背景
顧みられない病気に有効な新たな薬物を見出す創薬の初期ステージでは、多くのコストと時間がかかる場合があります。過去10年間、DNDiは、リーシュマニアとクルーズトリパノソーマ(それぞれリーシュマニア症とシャーガス病を引き起こす原虫)に対して活性を持つ化合物を特定するため、多くの努力を重ねてきました。このプロセスは、これらの疾患の治療薬として最適化のための重要な化学的出発点となる化合物を特定するため、高品質な化合物ライブラリーにアクセスすることから始まります。
これまでの努力にもかかわらず、リーシュマニアやクルーズトリパノソーマに対して殺原虫活性のある新たな化合物群を特定する作業は非常に難航しています。当初、DNDiは、公開されている小規模な化合物ライブラリーにアクセスし、ロースループットアッセイでテストしていました。その後、複数の製薬会社と契約を結び、新たなスクリーニングアッセイをDNDiが自ら開発したことにより、従来以上に幅広く高品質な化合物をミディアム~ハイスループットアッセイでスクリーニングできるようになりました。しかし、最適化に進むための貴重なヒット化合物を特定するために不可欠な、高品質かつ十分な多様性を備えた大規模な化合物ライブラリーへのアクセスが困難であったことから、なかなか成功に結びつくことはありませんでした。
本プロジェクトの具体的な目標は、リーシュマニア症とシャーガス病に対する新しい化合物群を提供することです。リーシュマニア原虫が確認されている98カ国では、3億5000万人が感染リスクにさらされています。またクルーズトリパノソーマ原虫が主に存在するアメリカ大陸では、1億人が感染リスクにさらされています。
本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?
コンソーシアムは、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)の支援と武田薬品工業株式会社、塩野義製薬株式会社、エーザイ株式会社のパートナー3社とのコラボレーションにより、上記の疾患に対し、製薬業界の有する数百万の分子の中から最も有用な分子を毎月選定し、スクリーニングすることを目標としています。 この新しい仕組みは、今まで以上に効果的な創薬のアプローチを実現します。DNDiが主導するコンソーシアム「顧みられない熱帯病創薬ブースター」(Neglected Tropical Disease Drug Discovery Booster、NTDブースター)は、日本のパートナー3社との協力を通じ、高品質なライブラリーを探索しながら、迅速かつ効果的な方法でヒット化合物群を特定し、その最適化を目指します。目標は、従来の一般的なアプローチよりもはるかに短い時間で、臨床候補化合物を生成することです。既存の「前競争的な」研究開発モデルと比べ、「NTDブースター」の革新的なところは、有望なヒット化合物群を迅速に特定するためのカギとなる化学構造や生物学的なスクリーニングに関する情報を、各社があらかじめDNDiと共有する点です。 パートナー3社は、上記2疾患を引き起こす原虫それぞれに対し、少なくとも4つの有望なヒット化合物/ヒット化合物群を迅速に特定します。これにより、直ちに、または集中的な創薬最適化を実施後、疾患の動物モデルにおいて概念実証研究を行うことのできる、構造活性相関が明確な化合物群を得ることができます。
本プロジェクトが革新的である点は何ですか?
NTD創薬ブースターは、現在の研究開発モデルに伴う障壁や制約を克服します。DNDiが、パートナー3社の広範な化合物コレクションの探索を深めることと同時に、それぞれのライブラリーに関連づけられているデータにアクセスすることも可能になります。 このアプローチの成否は、ヒット化合物を提供するパートナー各社からもたらされた化学的な情報を組み合わせることで、多大な時間とコストがかかるヒット化合物群の選別のプロセスを回避することによります。最初のコンピューター上でのスクリーニングから化合物群のリード最適化(LO)の開始に至るまでのプロセス全体には、約6~9カ月かかると見られます。従来のアプローチでは、スクリーニングの実施からヒット化合物群の選別、そして最適化候補化合物に至るまで、一般的に12~18カ月が必要でした。パートナー各社から共同で集められる情報が、質の高いヒット化合物群と構造活性相関を可能とし、それによってLOが大幅にスピードアップし、臨床候補化合物を生み出す能力の大幅な改善につながります。 得られた最良のヒット化合物群は、パートナー各社の「共同的な取り組みの成果」とされ、DNDiのリード最適化プログラムに進みます。この成果は、いずれかのメンバーに単独で帰属するものではありません。最良のヒット化合物群、およびLOプログラムによって最適化されたリード化合物は、リーシュマニア症およびシャーガス病の治療薬の研究、開発、実用化を目的に、DNDiが制約なしに利用できます。 以上のように、化学構造や生物学的なスクリーニングに関してごくわずかな情報を共有することのみで、コンソーシアムの各メンバーに大きなリスクを及ぼさずに、最良のヒット化合物群を生み出す可能性を大幅に高めることができます。NTDブースターの一切の成果は全メンバーに帰属し、リーシュマニア症とシャーガス病の新薬を開発できた場合は、全メンバーの貢献となります。
Investment
プロジェクト
顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases)創薬ブースター
完了プロジェクト