Investment

プロジェクト

P. vivaxマラリアの根治療法としてのSJ733とタフェノキンの併用療法

イントロダクション/背景

1. イントロダクション

SJ733はマラリア原虫ATP4阻害剤であり、合併症のないマラリアの治療薬の基準を満たしています。これまでにSJ733の3つの臨床試験が終了しており、第1a相試験ではSJ733の安全性と薬物動態が検討され、第1b相試験ではヒトチャレンジモデルで薬力学が検討されました。第2a相試験では、成人の合併症のないマラリア患者を対象に、SJ733の寄生虫減少率、寄生虫減少半減期、最小阻害濃度を測定し、曝露量と薬効の関係性(PK/PD)が評価されました。第1a、1b、2a相試験のヒトデータでは、優れた安全性プロファイルと忍容性、良好な経口利用性、中程度の薬剤クリアランスが示されています。

次の段階として、SJ733-タフェノキン(TQ)配合剤を1日、2日、または3日間投与するスケジュールで、成人の合併症のないP. vivaxマラリアの根治の可能性を検討する第2b相試験を実施する予定です。本試験は、その後の重要な第3相試験へのステップとなります。

 

2. プロジェクトの目的

このプロジェクトの全体的な目標は、P. vivaxマラリアの根治を目的としたSJ733とTQの併用療法の臨床的安全性と有効性を検討することであり、合併症のないすべてのP. vivaxマラリア患者の治療に適したSJ733-TQ配合剤を開発することです。本試験において、P. vivax単純感染患者の根治を目的としたSJ733-TQ合剤の1~3回投与を支持するデータを得ることをターゲットとしています。

 

3. プロジェクト・デザイン

まず、提案している第2b相試験をサポートするために、SJ733とTQの併用療法に関連する毒性学的検討を行います。次に、ペルーの合併症のないP. vivaxマラリア単純感染症成人患者に対するSJ733とTQの合剤の安全性と有効性を確立するための臨床試験を実施します。主な目的は、SJ733とTQの経口投与の安全性、忍容性、有効性、薬物動態を評価することです。同時に、SJ733の全体的な製品コストを削減するための選択肢を検討します。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

世界的なマラリア撲滅キャンペーンにより、マラリアによる死亡率は60%減少しましたが、P. falciparumP. vivax感染による症例は依然として年間2億人以上発生しています。P. falciparumはアフリカで蔓延しているため、全患者数の90%以上を占めますが、世界の多くの地域ではP. vivaxが20〜100%を占めており、最も広く全世界に広がっています。アルテミシニン併用療法(ACT)は初期の成功を牽引しましたが、ACT耐性が増加しており、バックアップ薬が緊急に必要とされています。さらに、P. vivaxマラリアの治癒と再発予防を両立させる現在の薬剤併用療法(根治療法)は、長期の治療スケジュール(7~14日間)を必要とし、服薬アドヒアランスが悪く、有効性も緩やかです(治癒率80%未満)。したがって、マラリアに対する安全で即効性のある併用療法を開発することが強く求められています。SJ733は新規の経口投与可能な速効性の抗マラリア薬で、P. falciparumP. vivaxの血液期と有性生殖期の両方に作用します。第2a相試験では、SJ733は3回以下の投与で血液期のP. vivaxを消失させ、ほとんどの患者では1~2回の投与で消失することが実証されました。本提案では、SJ733とTQの併用療法により、3回以下の投与でP. vivaxマラリアが根治することを臨床的に証明することを目的としています。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

SJ733は現在、合併症のないマラリアの治療薬として開発中の新規抗マラリア薬です。SJ733は、ヒト臨床試験において、迅速な薬力学的作用、優れた忍容性、安全性、有効性を示しています。我々は、SJ733とTQの経口合剤の安全性、忍容性、有効性、薬物動態を評価し、この合剤がP. vivaxマラリアを根治させ、現在の根治薬よりも投与スケジュールが大幅に改善され、有効性の向上を示すことを目的としています。

各パートナーの役割と責任

エーザイは研究代表機関です。エーザイとケンタッキー大学は、安全性試験および薬物動態試験を共同でデザインし、厳格な資格を有するCROに委託し、エーザイの専門家が監督します。

エーザイは、SJ733の新しい臨床試験薬剤の製剤化および併用毒性評価を行います。

ケンタッキー大学は、SJ733の開発に関する現在の米国FDAのIND(ガイ教授が保有)を変更するための規制当局への申請と、現地での倫理および規制当局への申請を含む第2b相臨床試験業務を監督します。