- 受領年2019
- 投資金額¥28,593,793
- 病気NTD (Mycetoma)
- 対象Diagnostic
- 開発段階Concept Development
- パートナー理化学研究所, Hospital General de Mexico, ハルツーム大学マイセトーマリサーチセンター(MRC), エラスムス医療センター
イントロダクション/背景
イントロダクション
マイセトーマ(mycetoma)は顧みられない熱帯病(neglected tropical disease)の1つで、皮下組織で発生する、大きい腫瘍状の傷病を特徴とした疾患である。マイセトーマは70種以上の異なる病原体に起因するが、世界中の全ての発生例の内79.5%をその中の4種類が占める。適切な医療処置は、原因生物を適切に識別することによりもたらされる。現在のマイセトーマの診断法は、時間がかかり、侵襲的で、感度や特異性が低く、高価である。現在のところ、マイセトーマをポイント・オブ・ケアで診断できる検査方法は存在しない。
プロジェクトの目的
マイセトーマ患者の尿と血漿における、4種類の主たる原因生物に特異的なマーカーを発見すること。
プロジェクト・デザイン
原因生物特異的なマーカーを発見するために、次の5段階のアプローチを行う。
1. マイセトーマ患者から、尿と血漿を採取する。
2. PCRにより、原因生物を識別する。
3. エクソソームには原因生物特異的なマーカーが含まれている可能性が高いため、尿と血漿からエクソゾームを単離する。
4. エクソゾームからRNAを抽出し、シーケンス(塩基配列解析)する。
5. 遺伝子発現プロファイルを取得し、マーカーを同定する。
MycEXomicsで同定するマーカーは、後日、マイセトーマの初期症状例を検知するためのポイント・オブ・ケアの診断ツールを開発するために用いられる。
本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?
マイセトーマは衰弱させる疾患で、多数の患者が親族や社会に依存することになる。マイセトーマの治療は高額で長期間に及ぶ。そのうえ、真菌由来のマイセトーマの場合は手術だけでなく切断も必要となる。よりよい治療を成功できるのは、マイセトーマを初期に診断できた時である。現在は、マイセトーマをポイント・オブ・ケアで検査する方法はなく、初期(亜臨床的)症例をスクリーニングすることは不可能である。結果的に、当該疾患は後期段階のみに発見されることが多い。将来のポイント・オブ・ケアの診断ツール開発に使えるマーカーを同定することにより、マイセトーマをできる限り早期に発見し、切断除去を不要とすることを目指す。
本プロジェクトが革新的である点は何ですか?
現在はマイセトーマを診断するためのマーカーは存在しないため、尿や血漿から直接このようなマーカーを発見することができれば我々が最初となる。エクソゾームからRNAを抽出することにより、マイセトーマ患者に関連する(host-associatedな)マーカーばかりでなく、病原体に関連する(pathogen-associated な)マーカーを発見できる可能性を最大化できる。
各パートナーの役割と責任
理化学研究所
GHITによる研究費を管理し、エクソゾームから抽出したRNAをシーケンスし、マーカー候補遺伝子の発現プロファイルを取得する。
ハルツーム大学マイセトーマリサーチセンター(MRC)& Hospital General de México
Mycetoma Research Centre (MRC)とHospital General de Méxicoはマイセトーマ患者からの血液ならびに尿サンプルを取得する。また、各機関で定められたプロトコルにより患者を診断する。
エラスムス医療センター
Erasmus MC (EMC)はシーケンスによる原因生物を確認し、取得サンプルからエクソゾームの単離、RNAの抽出を行う。