Investment

プロジェクト

新規作用機序トリプトファン合成酵素阻害に基づく、アゼチジン系結核治療剤のリード最適化研究
  • 受領年
    2017
  • 投資金額
    ¥200,332,434
  • 病気
    Tuberculosis
  • 対象
    Drug
  • 開発段階
    Lead Optimization
  • パートナー
    エーザイ株式会社, コロラド州立大学, The Global Alliance for TB Drug Development, シカゴ大学, ブロード研究所

イントロダクション/背景

イントロダクション

結核は、世界で最も死亡者数の多い感染症です。ブロード研究所は、保有する多様性指向型合成(DOS)化合物ライブラリーに対し、結核菌の生育阻害を指標にしてスクリーニングを行い、抗結核菌活性を示す新規アゼチジン系化合物群を同定しました。この化合物群は、結核菌のトリプトファン合成酵素活性をアロステリックに阻害することにより結核菌の生育を阻害します。トリプトファン合成酵素は、結核菌が生きていくために必要な酵素であり、ヒトには存在しません。このアゼチジン系化合物群は、分裂しない休眠期の結核菌にも阻害活性を示すとともに、多剤耐性結核菌(MDR-TB)やさらに多くの抗結核剤に耐性を示す超多剤耐性結核菌(XDR-TB)を含む全世界からの臨床分離株に対しても阻害活性を示しました。急性結核感染モデルマウスにおいても、in vivo活性を示しました。 

 

プロジェクトの目的

この研究の目的は、結核治療薬の前臨床開発に適した良好な物理化学的性質及び体内動態性質を有し、結核菌トリプトファン合成酵素を阻害する高い抗結核菌活性、安全性および有効性を示す低分子化合物を見出すことです。 

 

プロジェクト・デザイン

TBアライアンスが結核治療薬用に設定した前臨床開発のターゲット・プロダクト・プロファイルに合致する後期リード化合物を得るために、新規アゼチジン系化合物群の活性、体内動態の諸性質、動物での有効性、安全性プロファイルを最適化します。我々の目標には、1)急性結核感染モデルマウスにおいて、高い有効性を示す新規化合物をデザインし、そして合成し、化合物の体内動態と化合物作用の関係を明確にし、2)高い抗結核菌活性を有し、急性結核感染モデルで効果を示す化合物が、C3HeB/FeJマウスを用いた慢性の結核感染モデルにおいても、有効性を示すことを立証し、3)最終候補化合物を選ぶため、in vitro及びin vivoの安全性評価をすることが含まれます。    

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

結核による死亡者数は、HIVによる死亡者数よりも多く、全世界で死亡数が最も多い感染症です。結核菌Mycobacterium tuberculosisは空気感染によって結核を引き起こします。HIV/AIDS患者は免疫系が低下するため、非常に結核に対して脆弱です。結核の標準治療では複数の薬剤を6-9ヵ月間にわたって処方するという長期投与が行われており、これが患者の服用順守の低下を招いています。多剤耐性結核および超多剤耐性結核では、2年間というさらに長期の治療期間が必要になっています。我々の開発するアゼチジン化合物群から展開した化合物は、結核菌トリプトファンシンターゼのアロステリック阻害という新規作用機序を有し、グローバルにおける現在の標準治療薬に対する耐性獲得増加の克服に有効であり、最適な薬剤と併用することで治療期間も短縮できると考えられます。    

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

多剤耐性結核および超多剤耐性結核への介入治療では、2年間という長期の治療期間が必要であり、これが服用順守の低下と死亡につながっています。さらに、結核菌はヒトの体内においてしばしば増殖を止めた休眠期に入り、休眠期では標準的な抗菌剤による治療に耐性を示します。短期間で薬剤耐性結核を治療するために最も有効な手段は、休眠期の結核菌に有効な新規作用機序を持った薬剤を開発することです。我々のアゼチジン化合物群は新規作用機序を有し、これまで薬剤標的とされてこなかった結核菌トリプトファンシンターゼをアロステリックに阻害します。この標的タンパク質および経路はヒトにないものであり、介入治療において魅力的な標的です。さらに、我々の化合物は休眠状態の結核菌および、異なる場所で分離された多剤耐性および超多剤耐性の臨床分離株にも効果を示します。    

各パートナーの役割と責任

ブロード研究所は、プロジェクトの指定された開発パートナーです。ブロード研究所、エーザイ、コロラド州立大学(CSU)、シカゴ大学、TBアライアンスからのプロジェクトメンバーは、緊密に連携しながら各機関の強みや経験を活かし、プロジェクトを遂行します。

ブロード研究所は、活性と体内動態が改善した化合物を同定するための最適化研究を計画、実行することに責任を持ちます。

エーザイは、創薬化学、DMPK及び安全性研究をサポートします。

CSUは、in vitro抗結核活性測定試験とin vivo薬効試験を実施します。

シカゴ大学は、構造に基づいた最適化を進めるためのX線結晶構造解析を実施します。TBアライアンスは、プロジェクト全体に対するアドバイスや調整を行います。

さらに我々は、進捗状況の共有や科学的な方向性を議論するために、TB Drug Accelerator (TBDA)と定期的な電話会議を行います。 

他(参考文献、引用文献など)

Wellington, S.; Nag, P.P.; Michalska, K.; Johnston, S. E.; Jedrzejczak, R. P.; Kaushik, V. K.; Clatworthy, A. E.; Siddiqi, N.; McCarren, P.; Barjami, B.; Maltseva, N. I.; Fisher, S. L.; Joachimiak, A.; Schreiber, S. L.; Hung, D. T. Identification of a specific allosteric small-molecule inhibitor of Mycobacterium tuberculosis tryptophan synthase Nature Chemical Biology 2017, 13, 943-950.