Investment

プロジェクト

DSM265での処方最適化作業
Project Completed
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  • 受領年
    2016
  • 投資金額
    ¥158,999,958
  • 病気
    Malaria
  • 対象
    Drug
  • 開発段階
    Clinical Phase2
  • パートナー
    武田薬品工業株式会社, Medicines for Malaria Venture (MMV)
  • 過去の案件

イントロダクション/背景

イントロダクション

DSM265は新規の選択的DHODH阻害剤であり、MMVで行っている臨床試験候補の1つです。この化合物は、マラリア原虫の生息に不可欠な酵素を阻害することによって効果を示します。この化合物は長期間作用するので、単回投与でマラリアの治療効果や化学的予防効果をもたらす新規の治療薬となる可能性があります。単回投与による治療に向けて、将来の臨床試験および商用として経口固形剤を開発中です。マラリアに感染しているのは、ほとんどが5歳以下の子供なので、小児用の固形剤が必要です。DSM265は、難溶解性・高透過性の薬物(BSCクラスII)であるために、生物学的有効性を向上させるための複雑な処方化技術が必要です。また、原薬の試算価格も高いです。GHITによってファンドされた以前の処方開発では、小児用として望ましい生物学的有効性を示し、かつ、原価および投与量の低減を目指してきました。当該提案は、その処方開発に基づき、更に、現在の臨床試験の処方の最適化を行います。 

 

プロジェクトの目的

DSM265の現在の経口製剤の最適化を目的とします。薬物含量を最大化し、投与量を最小化することによって、小児に最適な処方を目指します。プロトタイプ処方の適正化を確認するために、ヒトにおける動態を予測する溶解試験や薬物動態モデルを開発します。最適処方に向けて、ヒト薬物動態試験を確認するための臨床試験用製剤の製造を提案に含みます。

 

プロジェクト・デザイン

DSM265は、生物学的有効性を改善するためには薬物が安定したアモルファス状態で存在するスプレー分散法(SDD)による処方を開発してきました。当該処方では、賦形剤に対する薬物の割合がクリティカルとなり、賦形剤の割合を増やすと、薬物は安定化し溶解度も上がります。典型的なSDD処方は、薬物量が15-30%ですが、将来は30-50%の薬物含量の処方が必要となります。

現在の処方では流動性も悪く、商用においては、運搬や安定性における課題となり、原価高騰につながります。投与量が比較的に多い事も、小児用としての課題です。造粒プロセスにて可溶化剤や甘味料を添加することにより、製剤の流動性が改善され、水だけで懸濁できるようになります。また、SDD製剤より安価な加熱性押し出し法(HME)による薬物含量が25-50%のプロトタイプも開発します。以上の適正化に向けて、ヒトにおける動態を予測する溶解試験や薬物動態モデルを開発し、ヒト薬物動態試験を確認するための臨床試験用製剤を製造します。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

マラリアは予防や治療が可能ではあるが、世界の人口の半分を占める97カ国において2億以上のケースがあり、未だに脅威となっています。2016年では、42.9万人のヒトが亡くなっており、WHOの推定によると、マラリアによる死亡は、90%がサハラ以南のアフリカ、70%が5歳以下となっています。この数字は、約2分に一人が亡くなっていることになります。更に、殺虫剤耐性やマラリア治療薬への抵抗性が拡がってきていることから、原虫をの駆除開発が喫緊の課題となっています。この状況は、短期課題である5年以内に市場に製品を出すこと、そして駆除が可能な次世代の薬物の開発することというMMVのいずれの方針にも合致しています。一度の服用で治療と予防が可能となる(SERCaP)新規の次世代マラリア治療薬の開発が最優先です。これによって、マラリア治療は変わり、多剤服用から成る駆除が基本となっていくでしょう。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

新規の作用機作によって、DSM265は複雑ではない熱帯熱マラリアを徐々に駆除する単回治療薬となっていく可能性があります。このユニークな特性によって、安全で効果的な化学的予防薬ともなります。現在開発中の処方によって、高価ではなく、小児にとって優く、かつ、熱帯環境でも安定な経口製剤を提供するでしょう。

各パートナーの役割と責任

MMVは、DSM265の開発において、武田薬品工業(株)(以下。武田)をパートナーとします。MMVはファンドの授与者として、当該プロポーザルの計画を、合意したスケジュール、予算にて進め、GHITへ報告する責任を負います。Joint Project チームは、MMVと武田から各々が選出したプロジェクトリーダー、科学者から成り、当該計画の推進すべてに責任を負います。試験はMMVと武田との協働にて実施します。MMVは、スポンサーとなり、プロジェクトの推進・管理・調整することに責任を持ちます。武田は、プロジェクトチームにおける臨床科学・臨床試験の実施・規制認可・CMC/科学的観点においてアドバイスすることに責任を持ちます。

他(参考文献、引用文献など)

WHO「2016年版 世界マラリアレポート」

最終報告書

1. プロジェクトの目的

プロジェクトの目的は小児(生後6ヶ月以降)への投与に適切であり、単回投与で有効な、P. falciparumマラリアの治療を期待される新しい抗マラリア薬DSM265の経口製剤を開発することです。小児用製剤は、過去に市販化がされなかった臨床用粉末製剤と、ヒトにおいて同等の薬剤曝露を提供する必要があります。小児用製剤の目標投与量は10~15ml以下であり、製剤は携帯用水に溶解される必要があります。製剤のコストは、低所得国から中所得国で簡単にアクセスできる必要があります。    

 

2. プロジェクト・デザイン

DSM265の小児用製剤に関する以前の開発努力は、投与量および製剤コストを減らすため、製剤中の薬剤含量を最大にすることに集約されていました。噴霧乾燥よりも安価な技術も探索されていましたが、これら製剤の薬物のバイオアベイラビリティ(>70%w/w薬剤含量)は、他の臨床製剤と比べて著しく低いものでした。従って、現在のプロジェクトでは、噴霧乾燥分散による最適な薬剤含量が研究されています。さらに、インビトロデータおよびイヌを対象とするバイオアベイラビリティ確認試験では、ヒトバイオアベイラビリティ試験における最適な製剤が選択されています。    

 

3. プロジェクトの結果および考察

34% w/wの薬剤含量を有するDSM265の小児製剤は、噴霧乾燥技術によって開発されました。参照とした小児用臨床用製剤で小児に投与するには、最低30mlの水が必要とされるのに対し、この粉末製剤の小児用投与量は、7mlの水に分散可能です。(参照の製剤は、臨床では利用できない複雑な賦形剤も必要とします)。新しい製剤は、参照の製剤と比べて、同等のインビトロの溶解特性および同等のイヌにおける経口バイオアベイラビリティを有します。ヒトを対象とする臨床試験では、健康なボランティア(n=14被験者)における新しい製剤のバイオアベイラビリティは、参照製剤の約93%でした。新しい製剤のバイオアベイラビリティは、高脂肪の朝食後において絶食後に比べて17%高かったため、新しい製剤では、わずかな食事の影響があったと考えられます。肯定的なバイオアベイラビリティの結果および新しい製剤は小児における目標の投与量に適合するという事実に基づいて、この製剤は将来の臨床試験の対象の候補となっています。

噴霧乾燥技術は、連続処理に計測および修正が可能であり、大規模な商用の量において流行国に利用可能な治療を提供できます。現在のプロジェクトの範囲外において、合成のためのより安価な原料を識別し、合成経路を最適化することによって原薬のコストも大きく低減できます。従って、ヒトバイオアベイラビリティの結果、投与量および資材の予想コストに基づいて、この小児用製剤は商用の利用に有効であると考えられます。