Investment

プロジェクト

WHOの住血吸虫症モニタリングと評価(M&E)プログラムを支える高感度かつ特異的な血清学的迅速診断テスト
  • 受領年
    2023
  • 投資金額
    ¥55,712,697
  • 病気
    NTD (Lymphatic filariasis)
  • 対象
    Diagnostic
  • 開発段階
    Product Design
  • パートナー
    株式会社医学生物学研究所 ,  Drugs and Diagnostics for Tropical Diseases

イントロダクション/背景

イントロダクション

住血吸虫症の制御プログラムには新規の検査が緊急に必要であり、WHOの目標製品プロファイル(TPP)が存在します。現状で最善の技術は便検査です。他のグループは、尿中抗原迅速検査(循環陽極性抗原; CAA)および等温 DNA 増幅技術に取り組んでいます。

小児を定点把握群と設定する血清学的検査は、シンプルで費用対効果の高い代替法です。文献データは、有病率が減少するにつれて、感染の尺度としての血清学的検査の重要性が高まることを示唆しています。したがって、血清学的検査はプログラムに有益であり、他の検査(事前スクリーニングもしくは確定調査用)との組み合わせ、または単独使用のツールとして使用できます。

これをうけ、私達は、WHOのTPPに適合し、学齢期の小児の定期的なスクリーニングに対応できる、高感度で特異的なラテラルフローイムノアッセイ(LFIA)を提案します。住血吸虫症の抗体検査は、現在のM&E戦略からの移行を意味しますが、WHO住血吸虫症DTAGサブグループの議長であるセコール博士との協議により、M&Eの抗体検査は実現可能なアプローチであるだけでなく、非常に実用的で費用対効果の高い戦略と考えられるとの見解に至りました。

私たちのチームは、LFIA(DDTD)、抗原抗体生成(MBL)、バイオマーカー同定(CDC)の経験が豊富であり、わずか 1 年でプロトタイプのLFIAを作製することができます。前述のパラダイムシフトを考慮すると、オペレーションズリサー(OR)が最も重要です。したがって、最初の OR をサポートするために5,000件分のキットを提供することを提案します。本開発の結果として得られるRDTをすぐに評価できる複数の現場サイトを、別に得た資金源を使ってすでに設置しています。

私たちは、WHOが発表したTPPに準拠した、ファーストインクラスの血清学的RDTを開発するための資金をGHITからいただけたことに感謝し、やる気に満ちています。本プロジェクトの終了時にはORの実地試験に対応できることになるでしょう。

 

プロジェクトの目的

プロジェクトの大枠の目標は、住血吸虫症の原因となる主要な病原体の1つであるマンソン住血吸虫への曝露を検出するための迅速診断検査 (RDT) を提供することです。 このRDTは、WHO TPPの感度と特異度の要件を満たします。このプロジェクトの終了時には、試験を現場で評価できる状態になります。この検査は単独のソリューションである場合もあれば、総合的なソリューションの一部である場合もあり、その場合、被験者は初診でRDTによる事前スクリーニングを受け、その後便検査または遺伝子検査により検査ラボで陽性結果が確定されます。

目標 1 (MBL): 必要となる試薬原料を作製(住血吸虫抗原と最大2種のポジティブコントロール抗体)

目標 2a (DDTD): 感度 >75%、特異度 >96.5% の血清学的 RDT を開発。

目標 2b (CDC): 住血吸虫症およびその他の患者検体コレクションを利用した プロトタイプRDTの反復的な性能評価(感度/特異性)。この目標達成にあたり、CDCは、以前に別途、締結したDDTDとの共同研究契約を活用して進めることができます。この契約下でCDCはGHITから資金を受け取りません。

目標 3 (DDTD): 血漿/血清と血液サンプルの全てで同等の性能がでるかを実証。

目標 4 (DDTD): ORをサポートするにあたり、関係者に提供できる5,000件に対応するキットを作製。

 

プロジェクト・デザイン

私たちは、住血吸虫症の原因となる病原体の1つであるマンソン住血吸虫への曝露を検出するための、低コストで使いやすい血清学的 RDT を提案します。この検査により、1つまたは複数のマンソン住血吸虫抗原(Sm25、Sm29、および/またはカルメニン B)に対するヒト IgG1 抗体反応を検出できるようになります。

複数の異なるアッセイ形式を構築し、その性能を比較します。この検査は血清/血漿サンプルを使用して開発と検証がされますが、最終的にはTPPの要求に応じて指刺血を使用することを考慮して、血清と全血がマトリックスとして同等であること証明することに細心の注意を払います。これに加えて、TPPでは、2~40°C、相対湿度 75%の条件で、最低でも18か月、理想的には24か月の保存期限を要求しています。安定性の研究は本質的に長くて複雑であるため、私たちは非常に初期の段階で安定性試験を開始し、かなりの量の作業をそこに費やします。感度と特異性、マトリックス同等性と熱安定性の点で総合的な検査性能が最も優れている抗原の組み合わせを、開発の次のステップのために選択します。

再現可能な製品品質を保証する重要な要素の1つは、検査対象の生物学的成分の安定した信頼できる供給源にアクセスできることです。とりあけマンソン住血吸虫抗原が、それにあたります。これらの抗原は、MBLによって遺伝子組換え型として作りますが、本提案では研究グレードで、将来は商業化に向けたステージではISO13485 グレードで生産します。第二に、アッセイの最適化と微調整のために、ポジティブコントロールが必要です。最適な性能を示すマンソン住血吸虫抗原に対する組換えヒト化IgG1抗体をMBLで取る予定ですが、抗原と同様プロジェクトの本プロジェクトの段階では研究グレードの品質で生産されます。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

住血吸虫症はWHOの最優先プログラムの1つであり、世界の感染者数で言えばマラリアだけがそれを上回っています。現在の疾病コントロールは大規模薬剤投与(MDA)に依存しており、その結果、MDAの開始と休止の決定を導く現場で展開可能な診断ツールに大きく依存しています。その結果、2021年にWHOは、住血吸虫症の制御を目的としたプログラムに対応できる新しい診断検査を求め、TPPとして望ましい性能特性を設定しました。TPPのリリースは、そのような新しい診断検査の開発の緊急性を示すWHOからの最も強い発信です。

私達の新しいRDTは、住血吸虫症のモニタリングと評価(M&E)を可能にすることで、明らかに満たされていないニーズを満たします:

- 既存のテストはどれもTPP基準を満たしていませんが、私達の新しい RDT が世界の主要な医療問題に大きな影響を与えることができることが、ここでわかります。

- キーオピニオンリーダーは、血清学的RDT(つまり、宿主内の抗体応答を検出するように設計されたRDT)が実行可能な概念であるだけでなく、現在最も実用的で費用対効果の高いアプローチに相当することに同意しています。

- 有病率が0%に近い地域では、私たちのRDTは小児を定点把握群として選択することでM&E活動においてMDAの休止判断の助けとなるという観点からも価値があります。

- CDCが資金を確保してケニア、セントルシア、ドミニカ共和国に試験サイトを設置している限りにおいて、すべての下流の活動にはすでに資金が提供されており、GHIT プロジェクトの成果として得られるRDTの実地試験は、GHITプロジェクトの完了後すぐに開始できます。

要約すると、推定240人の感染者と推定7億8,000万人の感染リスクのある人々の生活を改善する限りにおいて、私たちの検査は重大な世界的健康問題に対処するものであることに敬意をもって提示します。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

ラテラルフローイムノアッセイ(LFIA)自体は目新しいものではありませんが、迅速診断検査開発の分野で実績のある技術であり、リソースが少ない状況でのフィールドワークに特によく適合しているため、WHO が推奨するアッセイ系です。 LFIA 分野における私達の革新的な貢献により、他の疾患 (オンコセルカ症、リンパ性フィラリア症、ブルーリ潰瘍) に対しても非常に高感度で特異的な測定系を提供できるようになりました。このプロジェクトに関連する革新的な貢献は次のとおりです:

- CDCで最近発見された新規マンソン住血吸虫バイオマーカーの使用(一部はまだ論文発表されていない)。

- 光学検出のための新しいプラズモンナノ粒子の使用。従来の40nmコロイド金粒子と比較して、検査感度が2~10倍(アッセイに応じて)向上します。

- 独自のテストストリップ構造(機密)により、チェイスバッファーの添加時に検体が最初にテストラインに到達し、その後初めてナノ粒子が放出されるような仕組みとなっているアッセイストリップを実現し、これが感度の向上につながります。

- 独自のカセット設計(機密)。

各パートナーの役割と責任

- Drugs & Diagnostics for Tropical Companies (DDTD) は指定開発パートナーであり、プロジェクト全体とコラボレーション パートナーの管理を行います。DDTDはまた、プロジェクトを調整しタイムリーな実行を保証し、進捗状況とGHIT Fundへの財務報告に関するガバナンスを提供します。さらに、DDTDはマンソン住血吸虫への曝露を検出するための全ての新しいプロトタイプ迅速診断検査の設計および開発をします。プロジェクト中に作成されたすべての実験手順、化学、生化学、生物物理学、および臨床データは、DDTDによってISO-13845品質基準に基づき分けてつくられたデータベースに保存されます。

- (株)医学生物学研究所(MBL)は、3つのマンソン住血吸虫抗原と、選択された2つのマンソン住血吸虫抗原に対する陽性対照抗体を研究開発グレードで作製・生産します。その際に、ISO-13485製造を​​考慮して、前記抗原と抗体の発現を再現するために必要な記録を保管します(後に別の助成金を受けて実施されることを想定)。

- 疾病管理予防センター(CDC)、厳密には、プロジェクト開始当初から関わっているいるW.エヴァン・セコール博士が率いるエリミネーション&コントロール研究所は、MBLが生産手順を開発する間、抗原の初期セットを提供し、CDCに保管されている適切な検体コレクションを使用してDDTDによって作成された迅速診断検査の測定性能、より具体的には感度と特異性の評価を行います。こうすることにより、CDCとDDTDは、2022年初頭に別途、締結した共同研究契約を活用して進めることができます。この契約下でCDCは今回のGHIT Fundから一切資金を受け取りません。