Investment

プロジェクト

NTDに対する化合物探索プログラム
  • 受領年
    2021
  • 投資金額
    ¥8,994,695
  • 病気
    NTD (Chagas disease)
  • 対象
    Drug
  • 開発段階
    Hit Identification
  • パートナー
    武田薬品工業株式会社 ,  Drugs for Neglected Diseases initiative

最終報告書

1.プロジェクトの目的

本プロジェクトの目的は、武田薬品工業株式会社(武田薬品)が所有する多様でフォーカスした化合物ライブラリーから、GHIT/DNDiが定めるシャーガス病のヒット化合物の判定基準を満たし、開発可能な化合物群を特定することです。未評価の化合物から多様性を重視した上で、物理化学、薬物体内動態(ADME)、細胞毒性の観点から十分な性質を有する合計26,400化合物を選択し、スクリーニングを行いました。なお、既知の阻害作用(例えばCYP51)をもたらす可能性のある構造は除外しました。

2.プロジェクト・デザイン

以下の流れに沿ってスクリーニングを実施しました。

Step 1: 武田薬品が所有する化合物ライブラリーより26,400化合物を選択

Step 2: T. cruziに対するシングルポイント試験

Step 3: T. cruziに対する濃度依存性試験

Step 4: T. cruziに対する活性確認およびCYP51阻害試験

Step 5: 最も有望な10種のヒット化合物の再合成

Step 6: 少なくとも2拠点のアッセイ系でのT. cruziに対する活性の確認、及びその作用機序の解析(プロテアソーム阻害、tRNA合成酵素阻害、シトクロムbc1阻害)

Step 7: ヒット化合物のADMEプロファイリング(溶解性、マウスおよびヒト肝ミクロソームでの代謝安定性、logD、膜透過性等)

Step 8: データのレビュー、及びヒット化合物群の特定

 

3.プロジェクトの結果及び考察

韓国パスツール研究所でのハイスループットスクリーニングにより、267のヒット化合物を同定しました。これらのうち260化合物について品質管理基準を満たしていることが確認され、入手可能な173化合物について、ダンディー大学でT. cruzi活性確認及びCYP51阻害試験を実施しました。クラスター分析により、DNDiが定めるヒット化合物の活性・選択性基準を満たす9種類の骨格を特定し、これら誘導体の選択性はCYP51の阻害活性に対して10倍以上高く、そのうち2種類の骨格は細胞毒性に関して基準値以下の選択性を示したものの、複数の類縁体を含むグループでした。同定された9種類の化合物群のうち、単一の化合物のみからなる3種類の骨格は、反応性の官能基や望ましくない部分構造を含んでいたため優先度を下げました。残りの6種の化合物群については、我々のシャーガス病創薬プログラムにとって新規のものでした。TCG Lifesciences社で9種の化合物(6種類の異なる骨格を代表する初期ヒット化合物、および3種類の類縁体)を再合成しました。合成経路が複雑であったため、1種のヒット化合物の再合成が遅れましたが、最終的に完了することができました。全ての化合物はダンディー大学にてT. cruziに対する活性の確認及び作用機序の解析を実施しています。これらの研究はGHITによる支援の範囲外で完了する予定です。