Investment

プロジェクト

デュアル・エフェクトにより殺菌作用を発揮する新規抗結核薬の標的同定
  • 受領年
    2020
  • 投資金額
    ¥97,461,961
  • 病気
    Tuberculosis
  • 対象
    Drug
  • 開発段階
    Target Identification
  • パートナー
    北海道大学, ハーバード大学, 名古屋大学, 公益財団法人結核予防会, ミネソタ大学, 藤田医科大学

イントロダクション/背景

イントロダクション

結核は、年間約1000万人の新規罹患者数と、約140万人の死者数を示す世界三大感染症の一つです。結核は治療可能な感染症ですが、多剤耐性結核菌や超多剤耐性結核菌の出現により、既存の治療法の有効性が危機にさらされています。しかしながら、新規作用機序を有する結核治療薬の開発は滞っており、近年は少数の新薬の臨床試験しか実施されていません。

 

プロジェクトの目的

本プロジェクトは、新規作用機序を有する結核治療薬の開発を長期目標として実施します。我々は、二つの異なる抗菌作用を同時に発揮(デュアル・エフェクト)することにより、結核菌を迅速かつ強力に殺菌できる結核治療薬の開発を目指します。我々はこれまでの研究ですでに、デュアル・エフェクトが期待できる標的候補遺伝子を多数同定しています。本プロジェクトでは、結核菌培養実験系および結核菌マウス感染実験系によって候補遺伝子の機能を解析し、候補遺伝子の中から最も創薬標的有望性が高い遺伝子を絞り込み、次の創薬ステージへと繋げます。

 

プロジェクト・デザイン

我々は、最先端の遺伝子サイレンシング技術であるCRISPR interference (CRISPRi)を用いて創薬標的候補遺伝子の遺伝子サイレンシングをおこない、結核菌培養実験系および結核菌マウス感染実験系によって候補遺伝子の機能を解析します(遺伝学的手法を用いた創薬標的有望性の評価)。創薬標的有望性が見られた標的遺伝子に関しては、我々独自のアッセイ系を用いた化合物ライブラリー(名古屋大学ITbM化合物ライブラリー)スクリーニングを実施し、標的特異的に結核菌を殺菌できる化合物の同定を目指します。同定したヒット化合物は化学構造の類似性により分類し、誘導体を合成します。得られたヒット化合物およびその誘導体を用いて、化学的手法による創薬標的有望性の評価を実施します。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

効果的な結核治療法の存在により、結核の現状悪化を防ぐことが出来ています。しかし、結核の根絶を目指した結核死亡者の劇的な減少を実現するには、多剤耐性結核と超多剤耐性結核に対しても強力な殺菌作用を示す複数の治療薬が必要です。本プロジェクトは、多剤耐性結核菌や超多剤耐性結核菌に対しても強力な殺菌作用を示す薬剤の開発により結核根絶を目指します。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

我々はこれまでの研究から、機能を阻害することで迅速かつ劇的に結核菌の生菌数が減少する結核菌遺伝子Aを同定しました。そして、遺伝子Aを阻害すると二つの異なる作用(デュアル・エフェクト)により、結核菌が殺菌される事を見出しました。さらに研究を進め、遺伝子Aと同様に機能を阻害することでデュアル・エフェクトを示す可能性がある候補遺伝子を多数同定しました。本プロジェクトは、我々が独自に同定したデュアル・エフェクトを示す可能性がある魅力的な候補遺伝子群を、最先端の遺伝子サイレンシング技術であるCRISPRi法を用いて解析します。CRISPRi法を用いることで、約70個の候補遺伝子の解析を短期間で実施することができます。以上、本プロジェクトは、我々が独自に見出した標的遺伝子群の有望性を、最先端の手法を用いて、非常に短期間で評価する革新的なプロジェクトです。

各パートナーの役割と責任

我々のチームは、細菌遺伝学、細菌生理学、ケミカルバイオロジー、医薬品化学、創薬化学の高い専門性を有するエキスパートによって構成されています。研究開発代表責任者である港雄介(藤田医科大学)は、プロジェクトの総括を務めるとともに、CRISPRiを用いた創薬標的遺伝子の結核菌遺伝子サイレンシング株の作製を担当します。港は、御手洗聡(結核研究所)と共に、結核菌遺伝子サイレンシング株の結核菌培養実験系を用いての解析を担当します。Eric Rubin (ハーバード大学)は、結核菌遺伝子サイレンシング株の結核菌マウス感染実験系を用いた解析を担当します。佐藤綾人(名古屋大学)は、名古屋大学ITbM化合物ライブラリーの管理及びプロジェクトへの提供を担当します。港、御手洗、佐藤は、化合物スクリーニング法の開発及びスクリーニング実施を担当します。市川聡(北海道大学)とCourtney Aldrich(ミネソタ大学)は、スクリーニングにより得られたヒット化合物の誘導体合成を担当します。港、御手洗とAnthony Baughn (ミネソタ大学)は、結核菌培養実験系を用いたヒット化合物とその誘導体の結核菌臨床分離株に対する活性評価を担当します。