Investment

プロジェクト

住血吸虫迅速診断テストの開発・製造・検証 ~住血吸虫コントロールプログラムにおける治療効果のモニタリングと再マッピングのサポートを目指して
  • 受領年
    2020
  • 投資金額
    ¥373,397,356
  • 病気
    NTD (Schistosomiasis)
  • 対象
    Diagnostic
  • 開発段階
    Product Development
  • パートナー
    長崎大学熱帯医学研究所(熱研), ライデン大学メディカルセンター, メルク株式会社, Foundation for Innovative New Diagnostics (FIND)

イントロダクション/背景

イントロダクション

主要な顧みられない熱帯病である住血吸虫症は、最低所得人口の健康に多大な悪影響を与えており、2億2千万人以上が同症に罹患し、その約90%はサハラ以南のアフリカに在住しています。世界保健機関(WHO)による現ガイドラインでは、便・尿中に排出される住血吸虫卵の顕微鏡による検出が推奨されていますが、これは中~高度の感染強度では有用であっても、感度が低いため、有病率と感染強度が低い状況では十分に機能しません。ゆえに検体採取を数日繰り返し、何枚ものスライドを熟練技師が検査するなど、多大な時間や予算などを要します。現状を打破すべくFIND(スイス)は、ライデン大学医療センター(オランダ)、Merck KGaA(ドイツ)、Mologic(英国)、長崎大学熱帯医学研究所(日本)とともに、高感度で正確で使いやすく、しかも手頃な価格で入手可能な住血吸虫迅速診断テスト(RDT)を開発中です。本RDTは住血吸虫によって継続的に分泌される循環陽極抗原(CAA)を検出するもので、少量の指刺血を使用して20分以内に結果を得ることが可能です。FINDの委託先であるMologicは、現在遺伝子操作された抗体の抱合や、ナノ粒子・物質の新規な検出方法を開発・最適化中であり、これが完成すれば指刺血からのCAAの検出感度を高めることができます。

 

プロジェクトの目的

目的は、公衆衛生上重要なすべての住血吸虫種に有効で、機器を使わず容易に使用できる手頃な価格の住血吸虫RDTを開発し臨床評価を実施することです。このRDTで治療効果をモニタリングし、マッピングを再評価することで、住血吸虫コントロールプログラムに寄与していきます。

 

プロジェクト・デザイン

プロジェクトでは(a)半定量的プロトタイプ住血吸虫RDTのフィールド評価を行い、(b)RDTを最適化し、デザインを確定し、製造への移管を行い、(c)主要住血吸虫種でRDTのパフォーマンスを検証し、現行の顕微鏡ベースの診断テストの代替となれるかを判断し、(d)住血吸虫RDTへのアクセス戦略を策定します。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

WHO 2021-2030ロードマップは、2030年までに住血吸虫症を各地域から排除することを目指しており、達成への重要アクションとしてi) 必要とする全集団に薬剤を提供する集団薬剤投与(MDA)キャンペーンの拡大や、必要な薬剤へのアクセスの確保など、効果的な介入の実施、ii)ターゲットを絞ったベクターコントロールの実施、iii)マイクロマッピングの継続、を挙げています。i)およびiii)には、標準化されたポイント・オブ・ケアなどの医療現場での臨床検査を含む、適切な診断テストの開発が特に重要となりますが、住血吸虫CAA RDTが使用可能となれば、解決策の一翼を担うことになり、リスク集団への治療拡大へ向けた推進力となります。

「診断なしの医学は盲目である」–アラン・メリュー

したがって、診断と治療のパッケージ化が不可欠です。さらにMerck KGaAによるプラジカンテル寄付プログラムを最適に活用できる機会でもあります。つまり、マイクロマッピングにより、最も薬剤を必要とするエリアを割り出し、他のエリアからそこへ薬剤を再配分するのです。これは現在の診断方法では不可能です。薬剤を、比較的リスクの低いエリアから、リスクが高いエリアに集中させ治療に資することこそが、疾患伝染の減少、更には撲滅に最も効果的な方策です。

住血吸虫CAA RDTという強力なツールが開発されれば、方法論が変わり、住血吸虫症流行国におけるモニタリングと評価、および治療ガイドラインを改訂することができる可能性があります。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

一度の指刺血サンプルを用いて公衆衛生上重要なすべての住血吸虫種を検出できるRDTは市販されていません。新しいアッセイでは、サンプルの下準備や検出用リーダーなしで優れた診断精度を保証できる、他に類を見ない特異的な高親和性モノクローナル抗体セットを使用します。

各パートナーの役割と責任

NUITMはFINDと共に住血吸虫症流行2カ国でのフィールド評価と臨床検証研究を監督し、研究プロトコールを設定し、現場トレーニングを実施し、Good Clinical Practiceに沿ってデータが収集されるよう監督します。

LUMCはサンプルの下準備と検出リーダーを必要とする高感度ラボベース・アッセイを使ってサンプルをテストし、RDTの性能を検証します。さらに製造における品質保証に不可欠なCAA参照標準を作成し、プロジェクトの進行に合わせて、CAAならびに住血吸虫症診断全般に関する専門知識を提供します。

Merck KGaAは、FINDとともに、RDTへのアクセス戦略を策定し、製品のデザイン確定に向けて、各段階で科学的情報を提供します。

FINDはコーディネーターとして目標を設定し、管理し、モニタリングし、Mologicを含む委託業者を統括し、進捗状況を報告します。また技術面を統括し、フィールド評価および臨床検証研究の物流面を監視し、アクセス戦略策定をコーディネートします。