Investment

プロジェクト

住血吸虫症の制圧を見据えた新規診断法の開発:住血吸虫に特異的な抗体の血液あるいは尿中検出に最適な標的抗原の探索・同定
  • 受領年
    2017
  • 投資金額
    ¥76,389,000
  • 病気
    NTD (Schistosomiasis)
  • 対象
    Diagnostic
  • 開発段階
    Concept Development
  • パートナー
    長崎大学熱帯医学研究所(熱研), ライデン大学メディカルセンター, Lygature

イントロダクション/背景

イントロダクション

住血吸虫症は熱帯・亜熱帯地域に広く蔓延する寄生虫疾患であり、2015年の時点で少なくとも2億1800万人が感染していると推定される[1]。住血吸虫症の制圧計画はプラジカンテルを用いた集団薬剤投与MDAを中心に据えている[2, 3]。現行の診断法は極めて軽度な感染の検出には対応できないので、集団薬剤投与(MDA)の展開に伴い住血吸虫症の制圧が進展するにつれて、より感度の高い診断法が必要となることは明白である。それら制圧プログラムを成功に導き、疾病制圧(排除)後のサーベイランスを可能とするためには、高感度で非侵襲的な新規診断ツールの開発が不可欠である[4]。

 

プロジェクトの目的

本プロジェクトの最終的な目的は、住血吸虫症のコントロールおよび制圧プログラムに資する新規の迅速診断法を開発することにある。最初の2年は以下に示す概念の検証研究を行い、血液と尿を用いた高感度診断を可能とするタンパクと糖鎖抗原のショートリストを提供する。

MDAの展開に伴い住血吸虫症の制圧が進展すると、感染の低度蔓延地域において感染患者と非感染者を識別できる高感度の検査法が必要となる。住血吸虫虫卵や虫体の粗抗原に対する抗体は治療後も長期間残存するという欠点がある。特定のタンパクあるいは糖鎖抗原に対する特異抗体は治療後比較的速やかに低下し、感染患者と非感染者(治療後一定期間を経た方も含む)の識別に有効に機能すると考えられる。最適な抗原を選定できれば極めて軽度の感染を高感度でしかも尿など非侵襲的に採取した検体で検査でき、制圧(排除)後のサーベイランスに有効に機能すると期待される。

 

プロジェクト・デザイン

プロジェクトの目的達成へ向けて持続可能なパートナーシップを構築する。

A)   長崎大学熱帯医学研究所(NUITM)はタンパク抗原と住血吸虫蔓延地域からのサンプルへのアクセスならびに血中および尿中の抗体検出、ライデン大学メディカルセンター(LUMC)は糖鎖抗原と診断技術開発、制御下ヒト感染モデルならびに住血吸虫蔓延地域からの生体保存サンプルへのアクセス、Lygatureはコンソーシアムのマネージメントに優れており、それらを活用する。

B)   すべてのパートナーからなる意思決定機構として共同運営委員会(JSC)を構成する。LygatureはJSCをサポートする。

C)   プログラムの実行・報告のためにワークパッケージを設定する。

D)   将来的に必要なパートナーを同定し緊密なコミュニケーションを図る。

E)   将来的に必要となる資金の調達機会を見出す。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

本プロジェクトは高感度で非侵襲的な住血吸虫症の新規診断ツールの開発基盤を提供する。優れた感度と特異性を付与する抗原を確定できたら、フィールドに適用可能な抗体検出系の開発を経て、住血吸虫症のモニタリングツールとして大きなインパクトを与える。同診断ツールは住血吸虫症制圧プログラムを成功に導くために不可欠であり、疾病制圧(排除)後のサーベイランスにも大きく貢献する。またマンソン住血吸虫とビルハルツ住血吸虫が共に蔓延している地域では、高感度の種特異的なテストの導入によってMDAの各感染に対する効果とMDA後の各感染の伝播状況をモニタできる。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

本プロジェクトは以下の革新的なチャレンジならびに研究基盤の上で、高感度でフィールドへ応用可能でかつ手頃な価格の住血吸虫症を検出する新規診断法の開発を目標とする。

  • 単一もしくは複数のタンパクあるいは糖鎖抗原に対する抗体の検出
  • 尿中抗体の検出
  • 診断能の評価に耐えうる高品質コホートサンプルへのアクセス
    1. ケニアに設定のコホートから新たに集められたサンプル
    2. セネガル、カメルーン、ブラジル、ガボンなど様々なコホート由来の生体保存サンプル
    3. 制御下ヒト感染モデル由来のサンプル

各パートナーの役割と責任

NUITMはマンソン住血吸虫とビルハルツ住血吸虫が蔓延するケニアに確立したコホートから新たに治療前後の血清と尿サンプルを経時的に回収・保存する。それら生体サンプルと既存の保存血清を用いて、マンソン住血吸虫のタンパク抗原を探索し抗体検出の標的として最適な抗原を同定する。NUITMはまた尿サンプルの保存条件の検討を行い、タンパクおよび糖鎖抗原に対する反応性を解析する。LUMCは全ての糖鎖抗原の選択と評価を行う。加えて、LUMCは既存のコホートサンプルを管理・提供する。彼らは尿中CCA糖鎖抗原検出キットなど迅速診断テスト開発に卓越しておりプロジェクト全般に貢献する。Lygatureはコンソーシアムを統括し、プロジェクトの進捗、財政、共同研究状況を把握し、期間内のプロジェクト実行を確実なものとする。

他(参考文献、引用文献など)

[1] World Health Organization: http://www.who.int/schistosomiasis/en/, accessed 6 September 2017

[2] World Health Organization .A Roadmap for Implementation: accelerating work to overcome the global impact of neglected tropical diseases. Geneva: World Health Organization; 2012.

[3] World Health Organization: http://www.who.int/schistosomiasis/strategy/en/, accessed 6 September 2017

[4] Stotthard et al Parasitology 2014, 141(14):1947-61.