住血吸虫症感染症治療に関する新規プラジカンテル小児製剤の開発と承認
Project Completed
 
  • 受領年
    2013
  • 投資金額
    ¥186,489,892
  • 病気
    NTDs Schistosomiasis
  • 対象
    Drug
  • 開発段階
    Clinical Phase1
  • パートナー
    アステラス製薬株式会社、Farmanguinhos、メルク株式会社、Simcyp Limited、Swiss Tropical and Public Health Institute、Lygature

イントロダクション/背景

住血吸虫症(別名:ビルハルツ住血吸虫症)は、寄生虫を原因とする慢性疾患で、78もの発展途上国で蔓延している顧みられない熱帯病の一つです。世界では、1億人以上の児童を含む、2.4億人以上の人びとが住血吸虫症に感染しています。マラリアに次いで世界で二番目に多い熱帯病で、途上国にとって大きな健康問題となっています。とりわけアフリカ地域で約9割以上の感染が起きていることから、深刻な問題となっています。標準的な住血吸虫症の治療はプラジカンテル(PZQ)が投与されますが、成人および年齢の高い児童を対象とした経口の錠剤のみです。そのため、4歳以下の児童は臨床データが不足していることもあり、適切な治療が行われていません。

 

このような背景により、正確な小児用量で、服薬コンプライアンスが改善された就学前児童、乳幼児を含む低年齢の児童に適したプラジカンテル小児製剤の開発が強く求められています。このような新規のプラジカンテル小児製剤の開発の必要性は、2020年までに顧みられない熱帯病の各疾病を制圧するための世界保健機構(WHO)のロードマップや、国際社会が合意した“Uniting to combat Neglected Tropical Diseases”においても重要視されています。

本プロジェクトによって、グローバルヘルスの課題はどのように解決されますか?

世界的な保健課題の一つである住血吸虫症対策を進めるために、2012年7月に非営利のプラジカンテル小児コンソーシアムが創設されました。本取り組みは、現在治療キャンペーンの対象となっている就学前児童、乳幼児および低年齢の児童の住血吸虫症において切望される治療薬をもたらすことにより、住血吸虫症の制圧と対策に貢献します。新しいプラジカンテル小児製剤の開発と承認は、2020年までに顧みられない熱帯病を制圧することを目指した世界保健機構(WHO)の公約を果たすための礎となるとともに、この疾患による健康被害や死をもたらす住血吸虫症に対する認知向上にも繋がることを期待しています。全ての年齢群において治療薬を届けることを含め、この目標達成のためには複数の施策を統合する必要があると考えています。

本プロジェクトが革新的である点は何ですか?

プラジカンテル小児製剤コンソーシアムは、最高レベルの技術と豊富な経験を有する官民パートナーシップによる世界初のプラジカンテル小児製剤の開発と承認を目指したプロジェクトです。多様なパートナーが持ち寄る技術やノウハウの活用を通じて、標的としている就学前児童、乳幼児を含む低年齢の児童の服薬時の利便性の向上ならびに錠剤の有効成分の苦味低減、住血吸虫症流行国の気候に適した製剤開発は画期的な取り組みであると言えるでしょう。Merck KGaAは、プラジカンテル製剤の開発および製造に関するノウハウを提供しています。コンソーシアムを効率的かつ的確に執行するため、前臨床、臨床、薬事に関わる資源を持ち寄ることにより、本取り組みを強化しています。日本に本社を置くアステラス製薬は、服用時の利便性と機能性を向上させる同社の画期的な製剤技術を応用することにより、苦みを低減した初のプラジカンテル小児用製剤の開発に貢献しています。Swiss Tropical and Public Health Institute は、その広範な経験を生かして、寄生蠕虫の生物学的及び薬理学的な研究と、資源の乏しい環境にある流行地域での薬剤の有用性と有効性に関する臨床研究に貢献しています。オランダの非営利組織であるTI Pharmaは、このプロジェクトのガバナンスを促進する独立パートナーです。TI Pharmaは、顧みられない熱帯病領域において、研究開発に関する国際的な官民連携の広範なポートフォリオを有しています。現在コンソーシアムは前臨床フェーズにおける目標を達成したことから、臨床開発フェーズへ移行する段階にあります。

他(参考文献、引用文献など)

開発、薬事、アクセスの問題など治療薬の供給に至るまでの多数の課題を乗り越えるため、本コンソーシアムは住血吸虫症との闘いに参加する新たなパートナーや外部専門家の呼びかけを行っています。2014年よりFarmanguinhos とSimcyp Limitedがコンソーシアムに新たに参加しました。FarmanguinhosはFiocruz財団に属するブラジル政府の医薬品研究所であり、住血吸虫症の流行国における本小児製剤の生産と流通のためのノウハウを提供します。英国に拠点を置くSimcyp Limitedは、小児臨床試験の適切な用量設定を予測するためのpharmacokinetic(薬物動態)モデルの構築と検証に同社の知見を提供します。